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2023年度/1BHA012100 (公大)

【木2】幾何学特論D <前期>

本講義は,幾何学的不変式論とモーメント写像についての入門講義であり,それらの間の非自明な関連について述べるKempf-Ness定理を示すことが目標である. 代数多様体Xに簡約線形代数群Gが作用する時,商位相空間X/Gは一般には代数多様体にはならない.一方で,Mumfordの幾何学的不変式論では,商空間の定義を適切に与えることにより,X/Gを代数多様体として定義することができる.本講義の前半では,幾何学的不変式論の入門的事項について解説する.幾何学的不変式論はモジュライ空間の構成において重要な役割を果たすが,本講義ではモジュライ空間についてはごく簡単な例について言及するに留める. 本講義の後半では,モーメント写像を扱う.モーメント写像とは古典力学における角運動量を一般化した概念であり,シンプレクティック幾何学において重要な役割を果たす.まずモーメント写像を定義し,モーメント写像の零点集合を群作用で割ることによりシンプレクティック商という商空間を定義できることを解説する.最後に,「滑らかな射影多様体の点が幾何学的不変式論の意味で準安定であることと,モーメント写像の零点であることが同値である」というKempf-Ness定理について解説する.これは代数幾何的に定まる安定性とシンプレクティック幾何で定義されるモーメント写像との間に非自明な関係があることを示す重要な定理であり,この無限次元への拡張が近年活発に研究されている.時間が許せば,無限次元への拡張についても簡単にコメントする.授業計画には軽微な変更が加わる可能性があることに注意されたい.

担当教員氏名
橋本 義規
科目ナンバリング
BHAMAT52012-J1 (公大)
授業管轄部署
理学研究科
授業形態
講義
開講キャンパス
杉本
開講区分
週間授業
配当年次
1年 (公大)

注意: 配当年次は学部・学科によって異なる場合があるので、UNIPAで確認してください。

単位数
2単位 (公大)

注意: 実際の単位数は学部・学科によって異なる場合があるので、必ずUNIPAで確認してください。

到達目標
幾何学的不変式論の主要な構成について学び,安定性という重要な概念を理解できること.また,シンプレクティック多様体,ハミルトンベクトル場,及びモーメント写像についての入門的事項を理解できること.またモーメント写像を用いてシンプレクティック商を定義し,これが自然にシンプレクティック多様体となることを理解できること.Kempf-Ness汎関数と呼ばれるエネルギー汎関数の凸性が重要であることを理解し,Kempf-Ness定理の証明を理解できること.更に,幾何学的不変式論の意味での商空間とシンプレクティック商が位相同型になることを理解できること.
各授業回の説明
授業授業内容事前・事後の学習内容
第1回導入及び複素代数幾何学の基礎の復習講義ノートの内容を復習し,演習問題を解く.
第2回線形代数群及び簡約線形代数群講義ノートの内容を復習し,演習問題を解く.
第3回アフィン多様体のGIT商講義ノートの内容を復習し,演習問題を解く.
第4回圏論的商講義ノートの内容を復習し,演習問題を解く.
第5回線形代数群の作用の線形化講義ノートの内容を復習し,演習問題を解く.
第6回安定性講義ノートの内容を復習し,演習問題を解く.
第7回Hilbert-Mumford基準講義ノートの内容を復習し,演習問題を解く.
第8回シンプレクティック多様体とハミルトンベクトル場講義ノートの内容を復習し,演習問題を解く.
第9回モーメント写像講義ノートの内容を復習し,演習問題を解く.
第10回シンプレクティック商講義ノートの内容を復習し,演習問題を解く.
第11回ケーラー多様体入門講義ノートの内容を復習し,演習問題を解く.
第12回簡約リー群講義ノートの内容を復習し,演習問題を解く.
第13回Kempf-Ness汎関数講義ノートの内容を復習し,演習問題を解く.
第14回Kempf-Ness定理の証明講義ノートの内容を復習し,演習問題を解く.
第15回発展的話題講義ノートの内容を復習し,演習問題を解く.
事前・事後学習の内容
前半では,複素代数幾何学の基礎知識を前提とする.アフィン代数多様体,射影代数多様体,ザリスキ位相,豊富な線束,及び関連する可換環論の基礎事項にある程度慣れていることが望ましい.ただ,これらの前提知識についても授業中に可能な限り補足説明する予定である.特に,アフィン代数多様体と射影代数多様体(SpecとProj)については初回授業で簡単に復習する. 後半では,多様体論とリー群論(リー群とリー環の対応,指数写像など)についての基礎知識を前提とする.リーマン計量やベクトル束の線形接続についても理解していることが望ましいが,授業でも簡単に説明する予定であるので必須ではない.
成績評価方法
到達目標に記載した事項の理解度について,レポート課題を用いて総合的に評価する.幾何学的不変式論やモーメント写像の基礎事項について説明できることが合格(単位修得)のために必要である.
履修上の注意
様々なトピックを扱うので,前半・後半とも入門的事項から始める.
教科書
指定しないが,pdf形式の講義ノートを配布する予定である.

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参考文献
全体: R. Thomas. Notes on GIT and symplectic reduction for bundles and varieties. Surveys in differential geometry. Vol. X, 221--273, Int. Press, Somerville, MA, 2006. (https://arxiv.org/abs/math/0512411 にて入手可) 前半: I. Dolgachev, Lectures on invariant theory. London Mathematical Society Lecture Note Series, 296. Cambridge University Press, Cambridge, 2003. xvi+220 pp. ISBN: 0-521-52548-9 D. Mumford, J. Fogarty, F. Kirwan, Geometric invariant theory. Third edition. Ergebnisse der Mathematik und ihrer Grenzgebiete (2), 34. Springer-Verlag, Berlin, 1994. xiv+292 pp. ISBN: 3-540-56963-4 P. Newstead. Introduction to moduli problems and orbit spaces. Tata Institute of Fundamental Research Lectures on Mathematics and Physics, 51. Tata Institute of Fundamental Research, Bombay; by the Narosa Publishing House, New Delhi, 1978. vi+183 pp. ISBN: 0-387-08851-2 後半: A. Cannas da Silva. Lectures on symplectic geometry. Lecture Notes in Mathematics, 1764. Springer-Verlag, Berlin, 2001. xii+217 pp. ISBN: 3-540-42195-5 S. Donaldson, P. Kronheimer. The geometry of four-manifolds. Oxford Mathematical Monographs. Oxford Science Publications. The Clarendon Press, Oxford University Press, New York, 1990. x+440 pp. ISBN: 0-19-853553-8
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Updated on 2024/2/27 6:38:22

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