2023年度/1FCB102010 (公大) / (市大)
【金3】統治の基本構造 <後期>
日本国憲法に関する諸問題の中で、いわゆる統治機構論、すなわち日本国の公的な意思決定がいかなる組織・手続によって行われることとなっているのか、がこの授業の主題である。その際、他の科目と同じく、最高裁判所がこれまでに示した判例が重要な素材の一つとなる。 授業は原則として講義の形式により行われるが、随時、受講者との問答を行う。講義にあたっては、予習用レジュメにそって、基礎的概念および重要判例等を、適宜、質疑応答を通して検討する。受講生は、事前に十分な予習を行うことが求められる。このほか、関連する項目に関する課題を課すことなどにより、論述の能力を涵養するための指導を行う。
- 担当教員氏名
- 渡邊 賢
- 科目ナンバリング
- FCALAW71002-J1 (公大) / JAEPU7702 (市大)
- 授業管轄部署
- ロースクール
- 授業形態
- 講義
- 開講キャンパス
- 杉本
- 開講区分
- 週間授業
- 科目分類
- 法律基本科目
- 配当年次
- 1年 (公大) / 学年指定なし (市大)
注意: 配当年次は学部・学科によって異なる場合があるので、UNIPAで確認してください。学年指定なしの表記は、要覧等を確認してください。
- 単位数
- 2単位 (公大) / 2単位 (市大)
注意: 実際の単位数は学部・学科によって異なる場合があるので、必ずUNIPAで確認してください。
- 到達目標
- 受講者は、この授業を通して、日本国憲法が公的な意思決定に関していかなるルールを定めているのか(特に、憲法で定められた組織がどのように編成されているのか、いかなる権限を有しているのか、意思決定のプロセスにおいていかなる分担関係に置かれているのか)を理解することが目標となる。その際、これらの問題に関して、判例や重要な判決例がいかなる解釈を示しているのか(更に、どこまでルールが確定しており、どこからが未確定なのか)、を理解し、そのことを論述等の場面で生かすことができるようになることが重要である。 更に、既存のルールや学説を踏まえて、将来この分野で新たな問題に遭遇した場合に、自ら考えていくために必要な能力を獲得することも、重要な目標となる。
- 各授業回の説明
- 成績評価方法
- 成績評価は、絶対評価による。 内訳は、授業への取組の状況(授業中の発言、授業への参加の状況:成績評価全体の3割を占める)、および期末試験(成績評価全体の 7 割を占める)である。 期末試験においては、授業中に説明した統治機構の基本的な知識(特に判例の示したルール)を的確に説明し、また具体的な事例に含まれる憲法上の問題を的確に抽出できることが求められる。
- 履修上の注意
- 授業中に履修者に発言を求めるので、予習を十分に行っておくこと。
- 教科書
- ・野中俊彦=中村睦男=高橋和之=高見勝利『憲法Ⅰ、Ⅱ〔第5版〕』(有斐閣、2012年) ・長谷部恭男・石川健治・宍戸常寿[編]『憲法判例百選 I・II 第 7 版』(有斐閣、2019 年) ・大阪市大判例集Ⅰ,Ⅱ
- 参考文献
- ・参考文献はその都度指示する。
- オフィスアワー
- - 外部公開シラバスのためデータがありません / Please use UNIPA syllabus -
- 教員への連絡方法(メールアドレス等)
- - 外部公開シラバスのためデータがありません / Please use UNIPA syllabus -
授業 | 授業内容 | 事前・事後の学習内容 |
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第1回 | 国会①【国会の地位と組織に関する問題、特に法律事項、委任立法の限界、両院制につき学習する。】 | ①事前学習では、教科書の該当箇所、事前に配布するレジュメおよび所定の判例(初回の授業までに告知する)を通読することが求められる。②事後学習では、特に、事前学習で生じた疑問が授業を通して解決されているかを確認すること。【以下、第 15 回まで同 じ。】 |
第2回 | 国会②【議員の「全国民」の「代表」としての地位(第 43 条)、議員の特権(第 49~51条)につき学習する。】 | |
第3回 | 国会③【国会・両院の権限(特に議院の自律権、国政調査権)、選挙制度(特に投票価値の平等に関する判例の展開)、政党の法的地位につき学習する。】 | |
第4回 | 内閣①【内閣の権限(法律の誠実な執行・法案提出権等)、行政委員会、内閣総理大臣の権限(特に指揮監督権)につき学習する。】 | |
第5回 | 内閣②【議院内閣制の諸問題、特に、衆議院の解散権の所在と限界につき学習する。】 | |
第6回 | 裁判所①【司法権の独立、特に裁判官の「良心」(第 76 条 3 項)ならびに裁判官の身分(特に裁判官の政治活動に対する規制)につき学習する。】 | |
第7回 | 裁判所②【司法権の概念、特に判例における「法律上の争訟」の解釈、いわゆる部分社会の法理、統治行為論につき学習する。】 | |
第8回 | 裁判所③【公開原則(第 82 条)と法律上の例外、裁判所の権限(主に法廷警察権)について学習する。】 | |
第9回 | 違憲審査制①【違憲審査制の類型(抽象的審査制と付随的審査制)、裁判において憲法問題が提起される主なパターン( 特に行政訴訟・国家賠償請求)について学習する。】 | |
第10回 | 違憲審査制②【違憲審査権の対象(条約、私法上の行為等)、憲法判断回避の原則、合憲限定解釈につき学習する。】 | |
第11回 | 違憲審査制③【違憲審査の手法として、立法事実論、文献審査・適用審査、憲法問題の主張適格、および違憲判決の方式(法令違憲、適用違憲、部分違憲)につき学習する。】 | |
第12回 | 戦争放棄【日本国憲法第 9 条の解釈問題、特に自衛権・自衛隊に関する政府見解・裁判所の考え方につき学習する。】 | |
第13回 | 財政【日本国憲法第七章の解釈問題、特に、租税等に関する国会議決主義の内容につき学習する。】 | |
第14回 | 地方自治【日本国憲法第八章の解釈問題、特に、「地方自治の本旨」(第 92 条) の解釈、国と地方公共団体の権限関係、法律と条例の関係につき学習する。】 | |
第15回 | 法令の公布・憲法改正【法令の公布(特にその時点)に関する現行法上のルール、及び、憲法改正に関する憲法・法律上の手続につき学習する。】 | |
第16回 | 期末試験 |
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Updated on 2024/2/27 6:44:14