2023年度/1FCB104010 (公大) / (市大)
【金2】公法総合演習A(憲法訴訟論) <後期>
この講義では、基本的人権に関する主要な裁判例を中心にフォローし、そこで展開されている判例理論の内在的な理解に努めつつ、これに対する学説からの応接と対比し、判例理論の意義と限界を事例に即して検討する。講義にあたっては、予習用レジュメにそって、基礎的概念および重要判例等を、適宜、質疑応答を通して検討する。受講生は、事前に十分な予習を行うことが求められる。このほか、関連する項目に関する課題を課すことなどにより、論述の能力を涵養するための指導を行う。
- 担当教員氏名
- 渡邊 賢
- 科目ナンバリング
- FCALAW81004-J2 (公大) / JAEPU8804 (市大)
- 授業管轄部署
- ロースクール
- 授業形態
- 演習
- 開講キャンパス
- 杉本
- 開講区分
- 週間授業
- 科目分類
- 法律基本科目
- 配当年次
- 2年 (公大) / 2年 (市大)
注意: 配当年次は学部・学科によって異なる場合があるので、UNIPAで確認してください。
- 単位数
- 2単位 (公大) / 2単位 (市大)
注意: 実際の単位数は学部・学科によって異なる場合があるので、必ずUNIPAで確認してください。
- 到達目標
- 法律基本科目のなかでも、この科目は 3 年課程の 2 年次、あるいは 2 年課程の 1 年次に開講されるもので、本ロー・スクールの 1 回生において「人権の基礎理論」をすでに学習している者、あるいは法学部等においてそれに相当する内容を履修している者を対象とするものである。本講義のこのような位置づけにかんがみて、本講義では、受講者が、①各事例の前提となる制度及び事例に特有な事実関係を分析できるようになること、②具体的な事例に含まれる憲法上の問題点を発見する能力を身に着けることができること、及び③各事例に含まれる憲法上の問題点について、論述等の場面において、憲法の人権保障という視点から違憲性を主張する立場を構成できると同時に、それへの反論を見極めつつ、妥当な解釈論を導き出すことができるようになることが、この講義の到達目標である。
- 各授業回の説明
- 成績評価方法
- 到達目標の達成度を測るため、この授業では絶対評価を用いる。具体的には、各講義における質問や議論への参加の状況(成績評価全体のうち10%の比重を占める)及び学期末の試験(同じく90%の比重を占める)により評価を行う。 この授業では、受講者が、事例の前提となる制度及び事例に特有な事実関係が分析できること、具体的な事例に含まれる憲法上の問題点を適切に発見できること、各事例に含まれる憲法上の問題点について、適切な主張を構成できることが、合格の最低基準となる。
- 履修上の注意
- 事前に各回の対象とする判例を精確に読み込んでおくこと。受講後は必ず復習すること。
- 教科書
- ・野中俊彦=中村睦男=高橋和之=高見勝利『憲法Ⅰ、Ⅱ〔第 5 版〕』(有斐閣、2011 年) ・長谷部恭男・石川健治・宍戸常寿編『憲法判例百選ⅠⅡ[第 7 版]』(有斐閣、2019 年) ・大阪市大憲法判例集Ⅰ&Ⅱ(大阪市大で教材用に作成したもの。法学部事務室にあります)。
- 参考文献
- 授業前または授業中に適宜指示または配布する。
- オフィスアワー
- - 外部公開シラバスのためデータがありません / Please use UNIPA syllabus -
- 教員への連絡方法(メールアドレス等)
- - 外部公開シラバスのためデータがありません / Please use UNIPA syllabus -
授業 | 授業内容 | 事前・事後の学習内容 |
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第1回 | 外国人の人権その 1【外国人の人権をめぐる判例・学説、就中、人権の享有主体に関定住外国人の公務就任権に関する東京都管理職試験訴訟最大判平成 17・1・26 民集 59 巻 1 号 128 頁等の検討を通して、外国人の人権と主権論の関係について学習する。考察を深める】 | ①事前学習においては、教科書の該当箇所、レジュメおよび所定の判例(いずれも初回の授業までに告知する)を通読することが求められる。②事後学習においては、特に、事前学習で生じた疑問が授業を通して解決されているかを確認すること。【以下、第 15 回まで同じ。】 |
第2回 | 外国人の人権その 2【同上】 | |
第3回 | 法人の人権【法人の人権に関する八幡製鉄事件最判昭和 45・6・24 民集 24 巻 6 号 625 頁、南九州税理士会事件最判平成 8・3・19 民集 50巻 3 号 615 頁、群馬司法書士会事件最判平成14・4・26 判時 1785 号 31 頁、国労広島事件最判昭和 50・11・28 民集 29 巻 10 号 1698 頁等の検討を通して、法人の人権に関する判例理論の動向、就中法人の人権の限界に関する議論の枠組みの在り方、検討の際の具体的なポイント、八幡製鉄最判の見直しの可能性等を学習する】 | |
第4回 | 思想良心の自由【卒業式における国歌斉唱をめぐる最判平成 19・2・27 民集 61 巻 1 号 291 頁及び平成 23 年に出された三つの最高裁判決の検討を通して、卒業式における国歌斉唱と公務員である教師の思想・信条の自由の関係に関する検討を通して、思想良心の自由の保障の意義と限界につき学習する】 | |
第5回 | 政教分離【津地鎮祭最判、愛媛玉ぐし料最判、砂川空知太事件最判を含む一連の最判の検討を通して、政教分離原則について判例法理が従来展開してきた目的効果基準の内容・意義・守備範囲等について学習する】 | |
第6回 | 表現の自由その 1【検閲・事前抑制をめぐる判例法理の検討を通して、裁判所の仮処分による出版物の事前差止を認める際、名誉権を保護する場合とプライバシー権を保護する場合とでその基準に違いがあるか否か等につき学習する】 | |
第7回 | 表現の自由その 2【船橋市西図書館蔵書廃棄事件最判平成 17・7・14 およびパブリック・フォーラムという議論の検討を通して、いわゆるパブリック・フォーラム論の内容と、平成 17 年最判が展開する・公立図書館を「公的な場」とする議論の意義と限界を学習する】 | |
第8回 | 表現の自由その 3【いわゆる猿払事件最判昭和 49・11・6 と、平成 24・12・7 に出された二つの最判の検討を通して、判例法理に一定の「揺らぎ」が見られる中で、公務員の政治的行為禁止規定とその適用の合憲性をどのように考えるかについて学習する】 | |
第9回 | 表現の自由その 4【報道・取材の自由をめぐる一連の最高裁判例の検討を通して、NHK 事件最決平成 18・10・3 日の有する意義と限界を中心に学習する】 | |
第10回 | 経済的自由【経済的自由をめぐる一連の最高裁判例の検討を通して、職業選択の自由の規制立法の違憲審査基準と財産権の規制立法のそれとを比較し、両者の異同等につき学習する】 | |
第11回 | 生存権【生存権をめぐる一連の判例法理の検討を通して、生存権と違憲審査基準をめぐる諸問題のうち、生存権保障から「制度後退禁止原則」なるものを導出できるかにつき、生活扶助老齢加算廃止事件最判平成24・2・28等も素材としつつ、学習する】 | |
第12回 | 参政権【議員定数不均衡に関する一連の判例、および在外邦人選挙権剥奪違法確認等請求事件最判平成 17・9・14 の検討を通して、議員定数不均衡に関する諸判例間の相互関係、および議員定数不均衡に関する判例と在外邦人選挙権剥奪違法確認等請求事件平成 17 年最判との相互関係について学習する】 | |
第13回 | 包括的基本権【憲法 13 条をめぐる一連の判例、および自己決定と輸血拒否に係る最判平成12・2・29 の検討を通して、憲法 13 条をめぐる議論、自己決定権の内容とその制約原理等につき学習する】 | |
第14回 | 人権の適用範囲【いわゆる私人間効力論に関する一連の判例の検討を通して、人権の適用範囲に関する諸問題全体を再確認しつつ、私人間効力論を中心に学習する】 | |
第15回 | 人身の自由【成田新法事件最判平成 4・7・1および退去強制手続に関する東京地判平成 17・1・21 の検討を通して、退去強制手続を具体的な検討素材としつつ、成田新法事件最判で展開されている行政手続の法理の内容・意義・限界につき学習する】 | |
第16回 | 期末試験 |
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Updated on 2024/2/27 6:44:15