2023年度/1FCB627010
【木2】国際民事手続法 <前期>
(公大) / 国際民事手続法特論 (公大) / 国際民事手続法 (市大)
この授業は講義形態で行われる。この授業では、国際民事手続法(別名国際民事訴訟法)、すなわち、渉外事件に特有な手続法問題を扱う法分野を検討する。
- 担当教員氏名
- 国友 明彦
- 科目ナンバリング
- FCALAW84027-J1 (公大) / BCALAW62025-J1 (公大) / JAAPP8915 (市大)
- 授業管轄部署
- ロースクール
- 授業形態
- 講義
- 開講キャンパス
- 杉本
- 開講区分
- 週間授業
- 科目分類
- 展開・先端科目
- 配当年次
- 2年 (公大) / 1年 (公大) / 2年 (市大)
注意: 配当年次は学部・学科によって異なる場合があるので、UNIPAで確認してください。
- 単位数
- 2単位 (公大) / 2単位 (公大) / 2単位 (市大)
注意: 実際の単位数は学部・学科によって異なる場合があるので、必ずUNIPAで確認してください。
- 到達目標
- 国際民事手続法の基本構造および基本的な概念の意味と用法を説明すること、ならびに,この分野の基本的な法律問題を解決できるようになることである。
- 各授業回の説明
- 事前・事後学習の内容
- 事前学習: 受講者には、下記のような国際私法の概説書や百選などについて予習することを求める。予習課題には質問形式のQと簡潔に書かれた文献を指定してそれを読んでくることを求めるものがある。 予習課題は必須の課題と任意の課題に分ける。ケースブックの予習課題のうちには、高度なもの、少数説についてのものも含まれており、また、学習範囲の広さと深さの程度についての受講者の希望も異なっていることもありうるからである。 事後学習: 講義の内容を整理して、知識の定着を図ること。 希望者のみ対象の課題: 講義内容の復習、事例について法的解決を考える能力の涵養、論理的な文章を書く訓練のため、希望者向けに数回演習問題(事例式問題)を出し、希望者に文書ファイルのかたちで解答を書いてメールで送っていただき、添削して返し、授業の中で講評を行なう。
- 成績評価方法
- 絶対評価。学期末の試験80%,各回の予習課題で示したQへの解答など授業への参加状況 20%。 期末試験では,この分野の主要な法律問題についての事例式問題を出題する。C(合格)となるためには、国際民事手続法の基礎的事項について理解した上で、その問題についての中心的な論点は何かを見つけ、〔制定法の解釈が問題となる場合〕中心的な根拠条文について当てはめを行なうことが必要である。 さらに良い評価を獲得するため、重要な論点については自己の採る立場につき理由を示することが望ましい。また、自説と異なる説がある場合、主要なものだけで良いが、それに対する批判を述べることが望ましい。
- 履修上の注意
- 特になし。
- 教科書
- ケースブック: 櫻田嘉章=道垣内(どうがうち)正人編『ロースクール国際私法・国際民事手続法[第3版]』(2012, 有斐閣) 百選: 道垣内正人=中西康編『国際私法判例百選<第3版>』(2021, 有斐閣別冊ジュリスト256号) 概説書は指定しないが、以下の3冊を推薦する。このうち1冊以上を用意すること。 澤木敬郎(たかお)=道垣内正人『国際私法入門[第8版]』(2018, 有斐閣双書) 〔子奪取ハーグ条約以外の全項目をカバーしている〕 松岡博編『国際関係私法入門─国際私法・国際民事手続法・国際取引法─[第4版補訂]』(2021, 有斐閣)〔全項目をカバーしているものの、保全命令など記述の簡略すぎる箇所もある〕 嶋拓哉=高杉直編『国際民事手続法』(勁草[けいそう]書房, 2022)〔やや詳しめの概説書。〕 (中西康=北澤安紀(あき)=横溝大(だい)=林貴美(たかみ)著『国際私法[第3版]』[2022, 有斐閣Legal Quest]も優れた本だが、取り上げている事項が国際裁判管轄、外国判決の承認・執行、外国法の適用に限られている。) 六法: 授業で毎回使用する。小型のものでいいので持参すること。 * 適宜、レジュメ・資料などを講義時に配布する。
- 参考文献
- 入門書:神前(かんざき)禎(ただし)『プレップ国際私法』(2015, 弘文堂) 主要な参考書: 古田啓昌(よしまさ)『国際民事訴訟法入門─国内訴訟との対比で考える』(2012, 日本評論社)〔特に実務について参考になる。〕 小林秀之=村上正子『新版 国際民事訴訟法』(2020, 弘文堂) 櫻田嘉章=佐野寛=神前禎編『演習国際私法 CASE30』(2016, 有斐閣)
- オフィスアワー
- - 外部公開シラバスのためデータがありません / Please use UNIPA syllabus -
- 教員への連絡方法(メールアドレス等)
- - 外部公開シラバスのためデータがありません / Please use UNIPA syllabus -
- その他
- ・もし研究指導の希望があれば、研究レポートの作成につき助言を行なう。 ・法学政治学専攻開講科目「国際民事手続法特論」との合同開講とする。
授業 | 授業内容 |
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第1回 | 序論 国際民事紛争の具体例を挙げつつ、純粋の国内民事紛争と異なるどのような問題が生じるかを概観する。とりわけ国際裁判管轄と外国判決の承認・執行について理論的な基礎を解説する。 |
第2回 | 財産関係事件の国際裁判管轄総論 最判昭和56・10・16国際私法百選<第3版>76事件(マレーシア航空事件)(以下この版は単に「百選」で引用)の事案を素材として、国際裁判管轄に関する基本概念、あわせて法人に対する訴え―一般的な管轄・業務関連管轄(民事訴訟法3の2Ⅲ, 3の3四号[以下,民事訴訟法は条文番号のみで引用する])―について講じた上、特別の事情による訴え却下(3の9)について東京地判昭和61・6・20国際私法百選<第2版>(2012, 別冊ジュリ210)93事件(遠東航空機事件)、最判平成28・3・10百選84事件(ユニバーサルエンターテインメント事件)百選などを素材にして講じる。 * 旧法下(平成23年改正前民事訴訟法下)の判例も取り上げるが、これらの事案に現行法を適用すればどのように解決されるかという観点から検討する(以下同様)。 |
第3回 | 被告の住所等による管轄(3の2)について解説する。次に、契約債務履行地管轄(3の3一号)について東京地判平成25・12・25百選77事件などを素材として検討し、続いて業務関連管轄・事業活動地管轄(3の3四号五号)について大阪地堺支判平成28・3・17百選78事件などを素材として考える。 |
第4回 | 知的財産権と国際裁判管轄、不法行為地管轄(3の3第8号)、管轄原因事実の証明、財産所在地管轄(3の3第3号)、併合請求による管轄(3の6) 最判平成13・6・8百選79事件(ウルトラマン事件、円谷プロ事件)等を素材にしてこれらの諸問題について考える。知的財産法の基礎と国際的保護のうち国際民事手続法の観点から重要な点については最初に解説する。 |
第5回 | 合意管轄(3の7)、応訴管轄(3の8) 、消費者契約・労働関係に関する訴えの管轄権(3の4)、専属管轄(3の5) 合意管轄に関しては、最判昭和50・11・28百選81事件(チサダネ号事件)等を素材として検討する。外国裁判所の専属管轄合意が公序に反するとした最近の判例についても触れる。応訴管轄についても概説する。消費者契約・労働関係に関する訴えの管轄権に関する主要な解釈論上の問題について検討する。専属管轄については登録型知的財産権に関する3の5Ⅲを取り上げる。 |
第6回 | 裁判権免除 これは理論的には国際裁判管轄の前に講じるべき問題ではあるが,便宜上ここで取り上げる。外国等に対する我が国の民事裁判権に関する法律に関する主要な解釈問題について最判平成18・7・21百選75事件ほかの事案を素材にして簡単に検討する。 |
第7回 | 人事訴訟の国際裁判管轄 平成30年改正人事訴訟法3条の2~3条の5について講じる。法改正のため,この回と次の回ではケースブックは用いない。 |
第8回 | 家事審判事件等の国際裁判管轄 平成30年改正家事事件手続法3条の2~3条の15〔以下「家事」で引用〕のうち主要規定について講じる。あわせて法の適用に関する通則法5, 6についても触れる。 |
第9回 | 当事者、送達 「手続は法廷地法による」の原則の趣旨について確認し、当事者能力、訴訟能力について説明した上,当事者適格に関する知財高判平成28・6・22百選91事件(毎日オークション事件)等について検討する。 その後、送達に関する司法共助について概観した後、直接郵便送達に関するハーグ送達条約10条(a)号に対する平成30(2018)年の日本の拒否宣言について解説する。 なお、「証拠調べ」は希望があれば取り上げる。 |
第10回 | 外国判決の承認・執行(1) 118条等に定められる外国判決の承認・執行制度について講じる。まず,承認要件一般について最判平成10・4・28百選94事件(香港サドワニ事件)、最判平成26・4・24百選92事件(アナスタシア事件)、最判昭和58・6・7百選98事件(相互の保証について)などの判例を中心に検討する。次に、最判平成9・7・11百選96事件(萬世工業事件)を素材として、懲罰的損害賠償を命ずる米国等の判決が承認の対象になるか、なるとして公序に違反しないかについて検討する。さらに、手続的公序に関する最判平成31・1・18百選97事件も簡単に解説する。 |
第11回 | 外国判決の承認・執行(2) 外国離婚判決の承認、および、非訟裁判の承認(平成30年改正家事79の2ほか)、特に子の引渡しについての外国判決の承認(東京高判平成5・11・15百選95事件)について検討する。また、東京高判平成27・5・20百選101事件(扶養料の支払いを命じる判決の執行)にも簡単に解説する。さらに、代理出産された子の親子関係についての米国ネヴァダ州裁判の承認を拒絶した最決平成19・3・23百選57事件について考える。 |
第12回 | 国際的訴訟競合、保全命令 内外で同時に訴訟が進行する国際的訴訟競合について平成23年民訴法改正の際の議論を紹介し、知財高判平成29・12・25百選102事件などの裁判例を素材に内国訴訟の規制の当否について検討する。また、内外判決の抵触に関する大阪地判昭和52・12・22百選103事件を簡単に紹介する。また、保全命令の管轄に関する民事保全法11条について旭川地決平成8・2・9百選85事件を素材としつつ検討する。 |
第13回 | 子の奪取、外国法の適用と裁判所 国際的な子の奪取の民事上の側面に関するハーグ条約および同条約の実施法の要点と最決平成29・12・21百選62事件(子の返還の終局決定の変更)や最判平成30・3・5百選63事件(子奪取条約と人身保護請求)などの重要な判例について簡単に解説する。 外国法の日本の裁判における性質等について説明した後、外国法の不明の場合の処置についての学説・判例(札幌地判昭和59・6・26百選104事件など)について検討する。次に、外国法の適用違背と上告〔受理申立て〕(最判平成20・3・18百選105事件)について簡単にみる。 この回はケースブックは用いない。 |
第14回 | 国際商事仲裁 国際取引紛争を国際商事仲裁によって解決することの長所と短所を明らかにした上で、すなわち、仲裁契約・仲裁手続・仲裁判断などについての準拠法、仲裁地の意義、外国仲裁判断の承認執行などについて解説する。判例としては最判平成9・9・4百選106事件(リングリングサーカス事件)について検討する。 |
第15回 | 国際倒産、全体の復習 希望があれば,国際倒産法の骨子について解説する。 その後、全体について適宜復習を行なう。 |
第16回 | 期末試験 |
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Updated on 2024/2/27 6:38:52