2023年度/2A60032001 (府大)
【月3】物理学C 工学(電気) <前期>
熱力学は力学や電磁気学とならんで重要な古典物理学の一つである。熱学、熱力学の考え方は、圧力、温度、体積、エントロピーなどの巨視的な物理量(状態量)を使って熱的な現象を記述する理論体系である。このような考え方を習得しながら、我々が日常経験するマクロな世界を支配している自然法則について理解を深める。
- 担当教員氏名
- 津久井 茂樹
- 科目ナンバリング
- FLPHY2932-J1 (府大)
- 授業管轄部署
- 国際基幹教育機構(学部)
- 授業形態
- 講義
- 開講キャンパス
- 中百舌鳥
- 開講区分
- 週間授業
- 配当年次
- 2年 (府大)
注意: 配当年次は学部・学科によって異なる場合があるので、UNIPAで確認してください。
- 単位数
- 2単位 (府大)
注意: 実際の単位数は学部・学科によって異なる場合があるので、必ずUNIPAで確認してください。
- 到達目標
- 熱力学において重要な熱・温度・エントロピー・自由エネルギー等の概念を理解し、熱現象の可逆変化・不可逆変化、さらに相転移などの基本的な熱現象が熱力学の基本法則を基に記述できることを理解できるようにすることを目的とする。 熱力学第1法則を説明し、現象とエネルギー保存則を考察したうえで、理想気体を例に種々の状態量間の関係を学習する。次に、熱力学第2法則と可逆変化・不可逆変化との関係について説明する。エントロピーと自由エネルギーの概念を導入し、各種条件下において熱力学的変化が進む方向が理解できるようにする。また、相転移現象や気体分子運動論についても言及する。各プロセスでは、理想気体を仮定し状態量間の全微分方程式を用いてその変化を考察できるようにする。具体的な達成目標は以下の通りである。 1. 気体の状態変化を通して実在気体と理想気体の相違を説明できるようにする。 2. 熱平衡にある系(気体)の状態量間で成立する関係式(全微分方程式)をたて、系の状態変化を議論できるようにする。 3. 準静的過程、熱力学第0法則、第1法則および第2法則を説明できるようにする。 熱と力学的な仕事はともにエネルギーという共通の概念で扱える。熱力学第1法則をもとに「閉じた系」と「流動系(開いた系)」の仕事を計算できるようにする。 4. 気体の可逆変化・不可逆変化を説明できるようにする。さらに、理想気体を対象に等温変化や断熱変化など各状態量間の関係式を導き出せるようにする。 5. 理想気体のカルノーサイクル(熱機関)を対象に、第2法則をもとに仕事、熱量および効率の計算ができるようにする。あわせてカルノー冷凍機を説明できるようにする。 6. エンタルピー、エントロピーなどの概念を説明できるようにするとともに、不可逆変化とエントロピーの関係を数学的に説明できるようにする。 7. 気体分子運動論では分子間の衝突と圧力の関係、ならびに温度とエネルギー等分配則について議論できるようにする。 8. 気体内の分子の分布については、マクスウェル-ボルツマンの分布則、マクスウェルの速度分布関数の導出などができるようにする。 9. 固体については結晶を構成する原子を熱振動する調和振動子としてとらえ、その比熱が求められるようにする。
- 各授業回の説明
- 事前・事後学習の内容
- シラバスに毎回の授業内容に対応する教科書の節番号を記載していますので、予習として教科書の該当部分を読んでおいてください。また、復習として、授業でやったところの教科書・ノートの内容を再度読み、関連する(教科書の問、 例題、演習書の例題など)を解いてください。 講義中の例題だけでは不十分ですので、上記の参考書以外でもかまいません、自分に合った演習書で復習してください。なお、講義支援システムに資料などを必要に応じてあげておきますので、予習・復習に活用してください。また、 e-Learning講座(B3棟 2階)も利用できるので、基礎を固めてください。
- 成績評価方法
- 授業目標(達成目標)の達成度で成績評価を行う。C(合格)以上を得点するためには、全ての項目で基本的な問題(教科書の例題は勿論、章末問題など)が解けることが必要です。 定期試験(60%)、小テスト(40%)により評価する予定です。
- 履修上の注意
- 講義資料の確認と、必要に応じ印刷して講義に持参して下さい。
- 教科書
- 物理学(三訂版) 小出昭一郎 著、裳華房 1年次に使用した教科書です。
- 参考文献
- 工業熱力学 基礎編 河野通方、岡島 敏 ほか監修、石井一洋、井上忠重 ほか著、東京大学出版会 熱力学 ―基礎と演習― 山下 弘巳、町田 正人ほか著、古南 博、森 浩亮、森口 勇、成澤 雅紀、亀川 孝、田邉 秀二、杉村 博之、齊藤 丈靖 著、朝倉書店 基礎物理学2 熱学 小出昭一郎 著,東京大学出版会 基礎演習シリーズ 熱力学 三宅 哲 著,裳華房 なっとくする演習・熱力学 (なっとくシリーズ) 小暮 陽三 著,講談社
- オフィスアワー
- - 外部公開シラバスのためデータがありません / Please use UNIPA syllabus -
- 教員への連絡方法(メールアドレス等)
- - 外部公開シラバスのためデータがありません / Please use UNIPA syllabus -
授業 | 授業内容 | 事前・事後の学習内容 |
---|---|---|
第1回 | 温度と熱平衡: 熱力学第0法則、温度目盛について | 教科書§5.1の内容を事前に読んでおいてください。時間が許す限り、各講義中に演習を行うつもりです。 解答できなかったところの復習をしっかりしてください。 |
第2回 | 状態方程式: 状態量(熱力学的変数)の間にある関係 | 前回の授業内容について復習し、教科書§5.2の内容を事前に読んでおいてください。 |
第3回 | 準静的過程: 理想気体の等温圧縮など | 前回の授業内容について復習し、教科書§5.3の内容を事前に読んでおいてください。 |
第4回 | 熱力学第1法則: 熱の仕事等量、 閉じた系の仕事とエネルギーの式: 閉じた系の熱と仕事と内部エネルギーの関係について | 前回の授業内容について復習し、教科書§5.4の内容を事前に読んでおいてください。 |
第5回 | 開いた系の仕事とエネルギーの式: 開いた系(流動系)の熱と仕事と内部エネルギーの関係について、エンタルピー(熱力学関数)の導入 | 前回の授業内容について復習したうえで、今日の内容の復習に努めてください。 |
第6回 | 熱容量と比熱: 定積熱容量、定圧熱容量と状態量の関係について | 前回の授業内容について復習し、教科書§5.5の内容を事前に読んでおいてください。 |
第7回 | 理想気体の断熱変化: 理想気体の等温変化と断熱変化の相違 カルノーサイクル: 可逆サイクルと熱効率について | 前回の授業内容について復習し、教科書§5.6、5.7の内容を事前に読んでおいてください。 |
第8回 | カルノーサイクル: 可逆サイクルと熱効率について(続き) | 前回の授業内容について復習し、教科書§5.7の内容を事前に読んでおいてください。 |
第9回 | 熱力学第2法則: トムソンの原理、クラジウスの原理、第2種永久機関の不可能性 熱機関の効率と熱力学温度目盛: 一般の熱機関の効率、熱力学的温度の定義 | 前回の授業内容について復習し、教科書§5.8、5.9の内容を事前に読んでおいてください。 |
第10回 | エントロピー: エントロピー、エントロピー増大の原理について | 前回の授業内容について復習し、教科書§5.10、5.11の内容を事前に読んでおいてください。 |
第11回 | 自由エネルギー: ヘルムホルツの自由エネルギー、ギブスの自由エネルギー、 熱力学特性関数と熱力学的関係式のまとめ | 前回の授業内容について復習し、教科書§5.12の内容を事前に読んでおいてください。 |
第12回 | 気相・液相・固相: 温度・圧力による系の相変化(相転移) | 前回の授業内容について復習し、教科書§5.13の内容を事前に読んでおいてください。 |
第13回 | 気体分子運動論: 気体分子の平均運動エネルギーの計算 エネルギー等分配の法則: 原子・分子の自由度と平均運動エネルギー | 前回の授業内容について復習し、教科書§5.14、5.15の内容を事前に読んでおいてください。 |
第14回 | マクスウェルの速度分布関数: 気体内の分子の分布について、マクスウェル-ボルツマンの分布則、マクスウェルの速度分布関数の導出など 実際の系への展開:ボーズ-アインシュタインの分布則、フェルミ-ディラックの分布則との相違について | 前回の授業内容について復習し、教科書§5.16の内容を事前に読んでおいてください。 |
第15回 | 固体の比熱: 結晶の熱容量、デューロン-プティの法則、アインシュタインの比熱の式と問題点 | 前回の授業内容について復習し、教科書§5.17の内容を事前に読んでおいてください。 |
第16回 | 上記の授業計画はあくまで予定です。 |
Loading...
Updated on 2024/2/27 6:18:00