2023年度/2B20218001 (府大)
【月1】材料組織II <後期>
(前半)材料の相変化・組織変化を司るのは固体内の原子の拡散である。まず科学的基礎として拡散の原子論を、ついで連続媒質における拡散の現象論を、以下の順に学ぶ。 ・フィックの法則 ・固体における拡散の原子論 ・気体および液体における拡散 ・フィックの第二法則(拡散方程式) ・定常拡散 ・擬定常拡散(表面相の成長、放物線則) ・非定常拡散(ガウス分布型、誤差関数型) (後半)前半で学んだ拡散と、材料組織 I で学んだ相平衡の知識を基礎として、拡散型の相変態を以下の順に学ぶ。 ・相互拡散、固有拡散と自由エネルギー(化学拡散、フィックの法則の破綻) ・拡散と状態図 ・相変態の分類、拡散変態の種類 ・相変態の駆動力と核生成(復習) ・均一核生成、不均一核生成 ・拡散による析出物の成長、析出の速度論、析出粒子の粗大化 ・共析変態とマッシブ変態 ・実用合金における拡散変態と析出 ・規則-不規則変態
- 科目ナンバリング
- BCMAE3822-J1 (府大)
- 授業管轄部署
- 工学部
- 授業形態
- 講義
- 開講キャンパス
- 中百舌鳥
- 開講区分
- 週間授業
- 配当年次
- カリキュラムにより異なります。 (府大)
注意: 配当年次は学部・学科によって異なる場合があるので、UNIPAで確認してください。学年指定なしの表記は、要覧等を確認してください。
- 単位数
- 2単位 (府大)
注意: 実際の単位数は学部・学科によって異なる場合があるので、必ずUNIPAで確認してください。
- 到達目標
- 材料の製造過程における状態変化や組織形成の速度や寿命を司る拡散現象に関する科学的基礎と実際的知識を得ることを目的とする。 到達目標 (1) 拡散の経験則であるフィックの法則を説明できる。 (2) 固体における拡散係数の大きさと温度依存性が実際にどのようであるかを説明できる。 (3) 固体における拡散の代表的なメカニズムと、それぞれのメカニズムによる拡散の特徴を説明できる。 (4) 拡散方程式とは何であるかを説明できる。 (5) いくつかの典型的な初期条件・境界条件に対する拡散方程式の解(濃度分布)を説明できる。 (6) 拡散に律速されて進行する現象の時間則を説明できる。 (7) 固有拡散の概念を理解し、説明できる。 (8) 拡散変態の種類を説明できる。 (9) 各種変態の駆動力を理解し、説明できる。 (10) 拡散律速の意味を理解し、説明できる。 (11) 界面律速の意味を理解し、説明できる。 (12) 実用合金における拡散変態を理解し、説明できる。
- 各授業回の説明
- 事前・事後学習の内容
- 次回の授業で扱う教科書の内容を予習する。随時与える演習問題(レポート課題)によって復習する。
- 成績評価方法
- 達成度を、課題レポート(20%)、中間試験(40%)、期末試験(40%)によって評価する。授業中に随時与える課題は指定された期日までにレポートとして提出すること。合格の条件は、到達目標に挙げた項目に関する基本的な問題が解けること。
- 履修上の注意
- (関連科目) 物理学C、化学A、物理化学序論、常微分方程式、偏微分方程式、ベクトル解析、物質の構造・組織、材料設計・制御、材料組織I、構造材料科学
- 教科書
- 松原英一郎 他 著「金属材料組織学」朝倉書店 (2011)、主に第5章と第6章。他に補助教材を配布する。
- 参考文献
- D. A. Porter, K. E. Easterling 著 「Phase transformations in metals and alloys」第2版 Chapman & Hall (1992). P. シュウモン 著「固体内の拡散」コロナ社 (1994). D. V. ラゴーニ 著, 寺尾光身 訳「材料の物理化学 II」丸善 (1996). 高木節雄, 津崎兼彰 著「材料組織学」朝倉書店 (2000). Th. ホイマン 著「金属における拡散」丸善出版 (2005). 日本金属学会 編「講座・現代の金属学 材料編 2:ミクロ組織の熱力学」日本金属学会 (2005). 小岩昌宏, 中嶋英雄 著「材料における拡散 格子上のランダムウォーク」内田老鶴圃 (2009). H. メーラー 著「固体中の拡散」丸善出版 (2012). 坂 公恭 著「材料系の状態図入門」 朝倉書店 (2012).
- オフィスアワー
- - 外部公開シラバスのためデータがありません / Please use UNIPA syllabus -
- 教員への連絡方法(メールアドレス等)
- - 外部公開シラバスのためデータがありません / Please use UNIPA syllabus -
授業 | 授業内容 | 事前・事後の学習内容 |
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第1回 | 授業の概要:相変態による組織形成の基礎、平衡論と速度論 拡散の現象論:フィックの法則、固体内の原子の動きと拡散係数 | 教科書第5章 5.1 5.2.1 |
第2回 | 固体における拡散:拡散係数の大きさと温度依存性,拡散の微視的メカニズム 結晶中の点欠陥:内在的点欠陥とその平衡濃度 | 5.2.2 5.2.3 |
第3回 | 金属結晶における拡散:自己拡散に関する経験則、欠陥を介した高速拡散 | 5.2.4, 5.2.5 |
第4回 | 非金属固体における拡散:半導体結晶(シリコンとゲルマニウム)、イオン結晶 | 補助教材 |
第5回 | 流体(気体、液体)における拡散 拡散方程式(フィックの第二法則) 定常拡散 | 補助教材 5.3.1 5.3.2 |
第6回 | 非定常拡散 (1):ガウス型の濃度分布、ランダムウォークモデル 非定常拡散 (2):誤差関数型の濃度分布(無限大媒質,半無限大媒質) | 5.3.3, 補助教材 5.3.4 |
第7回 | 非定常拡散 (3):変数分離法による級数解(有限媒質) 擬定常拡散 | 補助教材 |
第8回 | 中間試験 | |
第9回 | 固有拡散:ボルツマン- 俣野の方法、カーケンドール効果 | 5.4 |
第10回 | 多相拡散:拡散と相変態、反応拡散と状態図 拡散における化学ポテンシャルの効果 | 補助教材 |
第11回 | 相変態の分類、拡散変態の種類、過飽和固溶体からの析出 | 教科書第6章 6.1, 6.2 |
第12回 | 過飽和固溶体からの析出 (1) 均一核生成の駆動力、臨界核生成、核生成速度と潜伏期 不均一核生成 | 6.3 6.4 |
第13回 | 過飽和固溶体からの析出 (2) 拡散による析出物の成長、析出の速度論、析出粒子の粗大化、連続析出と不連続析出 | 6.5, 6.6, 6.7, 6.8 |
第14回 | 共析変態とマッシブ変態 鋼における拡散変態と析出、相変態の駆動力、律速過程 | 6.9 |
第15回 | 実用合金における拡散変態と析出 規則-不規則変態 | 6.10 6.11 |
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Updated on 2024/2/27 6:18:23