2024年度/1ACA003010 (公大) / (市大)
【月1、木3】日本法制史 <前期>
この授業は講義形態で行われる。この講義の目標は、現行の法や制度が不変ではなく、長い時間をかけた試行錯誤の成果でありかつ途上であることを認識するとともに、批判的に再吟味する視点を養うことにある。 具体的には、江戸時代の後期から明治初年にかけての法・裁判と、これらに携わった人びとにつき、各種史料を利用しながら概観する。取りあげる中心となるのは江戸幕府や明治新政府の法・制度(裁判組織・訴訟制度・刑罰など)であるが、他地域(大坂町奉行所・大阪府・紀州藩・肥後藩・高野山・若松県など)にも目を配ることで、近世における法・制度の地域性の存在と、近代以降の(困難を極める)それらの統一の過程についても意識する。 本講義を通じたキーワードは「近世と近代の連続性と断絶」「法・裁判・刑罰の近代化の過程」である。
- 担当教員氏名
- 安竹 貴彦
- 科目ナンバリング
- ACALAW21003-J1 (公大) / JAFUN2203 (市大)
- 授業管轄部署
- 法学部
- 授業形態
- 講義
- 開講キャンパス
- 杉本
- 開講区分
- 週間授業
- 配当年次
- 2年 (公大) / 学年指定なし (市大)
注意: 配当年次は学部・学科によって異なる場合があるので、UNIPAで確認してください。学年指定なしの表記は、要覧等を確認してください。
- 単位数
- 4単位 (公大) / 4単位 (市大)
注意: 実際の単位数は学部・学科によって異なる場合があるので、必ずUNIPAで確認してください。
- 到達目標
- ・近世中期以降~明治初年にかけての法や裁判制度の概略とその変遷を理解することができる。 ・上記の理解を通じ、法・制度は不変ではなく、試行錯誤の成果であり、かつ現行の法・制度もなおその過程の途上にあることを認識し、批判的視点から吟味する視点を持つことができる。
- 各授業回の説明
- 成績評価方法
- ・上記到達目標の達成度につき期末試験・小テストを課し評価を行う。 ・評価方法 定期試験(70%) 小テスト(3回程度実施 30%) ・合格のための最低基準 近世中期~明治初年にかけての法や裁判制度、刑罰の概略と特徴、その近代における連続性と断絶につき正しく理解し、説明することができる。
- 履修上の注意
- 歴史(法制史を含む)は暗記科目ではありません。法・制度が歴史の流れのなかで、試行錯誤の繰り返しにより、いかに変化してきたかに留意し、現行の法・制度と比較する視点を常に意識しながら受講するようにしてください。
- 教科書
- 指定しません。随時レジュメと資料を配布し、それらをもとに授業を進めます。
- 参考文献
- ・『日本法制史』(浅古弘・伊藤孝夫・植田信廣・神保文夫編、青林書院、2010) ・『大阪「断刑録」-明治初年の罪と罰』(牧英正・安竹、阿吽社、2017) ・『よく分かる日本法制史』(ミネルヴァ書房、2023[予定]) 上記以外の参考文献については、授業中に随時紹介します。
- オフィスアワー
- - 外部公開シラバスのためデータがありません / Please use UNIPA syllabus -
- 教員への連絡方法(メールアドレス等)
- - 外部公開シラバスのためデータがありません / Please use UNIPA syllabus -
授業 | 授業内容 | 事前・事後の学習内容 |
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第1回 | 近世法の特徴(1) 前近代における私的刑罰権の容認とその制限の過程 | (前)「喧嘩両成敗」や「敵討」について、最低限の知識を事前に得ておく。 (後)配布資料・レジュメを再読し、講義の内容の理解に努める。 |
第2回 | 近世法の特徴(2) 明治初年における私的刑罰権縮減の過程 | (前)「刑事訴訟への被害者参加」「裁判員裁判」につき、最低限の知識を得ておく。 (後)配布資料・レジュメを再読し、講義の内容の理解に努める。 |
第3回 | 江戸幕府の裁判組織(1) 概説その1 | (前)「三権分立」につき最低限の知識を得ておく。 (後)配布資料・レジュメを再読し、講義の内容の理解に努める。 |
第4回 | 江戸幕府の裁判組織(2) 概説その2 | 同上 |
第5回 | 江戸幕府の裁判組織(3) 組織を動かす「実務」法曹(1) | (前)裁判所事務官・書記官、検察事務官などの職務につき、最低限の知識を得ておく。 (後)配布資料・レジュメを再読し、講義の内容の理解に努める。 |
第6回 | 江戸幕府の裁判組織(4) 組織を動かす「実務」法曹(2) | 同上 |
第7回 | 江戸幕府の裁判組織(5) 補助者の存在とその意義 | (前)弁護士・司法書士・公証人の職務につき、最低限の知識を得ておく。 (後)配布資料・レジュメを再読し、講義の内容の理解に努める。 |
第8回 | 江戸幕府の吟味筋(1) 犯罪事実の認定-情報収集と被疑者の捕縛 | (前)現代の「逮捕勾留」の内容とその問題点につき各自で調べておく。 (後)配布資料・レジュメを再読し、講義の内容の理解に努める。 |
第9回 | 江戸幕府の吟味筋(2) 犯罪事実の認定-自白録取とその強要 | (前)現代の「拷問の禁止」「自白のみによる有罪認定の禁止」の原則と、取調べの問題点につき各自で調べておく。 (後)配布資料・レジュメを再読し、講義の内容の理解に努める。 |
第10回 | 江戸幕府の吟味筋(3) 刑罰決定 | (前)いわゆる「精密司法(調書裁判)」の概要と課題、裁判員制度の概要、現代の裁判における「判例」の意義、について各自で調べておく。 (後)配布資料・レジュメを再読し、講義の内容の理解に努める。 |
第11回 | 江戸幕府の吟味筋(4) 法的安定性と具体的妥当性 | (前)「法的安定性」と「具体的妥当性」、「擬制(fiction)」につき各自で調べておく。 (後)配布資料・レジュメを再読し、講義の内容の理解に努める。 |
第12回 | 江戸幕府の刑罰(1) 一般予防主義的刑罰 | (前)「一般予防主義」につき各自で調べておく。 (後)配布資料・レジュメを再読し、講義の内容の理解に努める。 |
第13回 | 江戸幕府の刑罰(2) 特別予防主義的刑罰の導入 | (前)「特別予防主義」につき、各自で調べておく。 (後)配布資料・レジュメを再読し、講義の内容の理解に努める。 |
第14回 | 江戸幕府の刑罰(3) 諸藩の刑罰 | (前)配布資料に事前に目を通し、諸藩(高野山を含む)の刑罰の概略につき理解しておく。 (後)配布資料・レジュメを再読し、講義の内容の理解に努める。 |
第15回 | 江戸幕府の出入筋(1) 概説その1-吟味筋と出入筋との境界 | (前)現代の「刑事訴訟」と「民事訴訟」の差異につき、各自で調べておく。 (後)配布資料・レジュメを再読し、講義の内容の理解に努める。 |
第16回 | 江戸幕府の出入筋(2) 出入筋の手続(出訴から裁許前) | (前)現代の「和解」や「調停」制度につき、各自で調べておく。 (後)配布資料・レジュメを再読し、講義の内容の理解に努める。 |
第17回 | 江戸幕府の出入筋(3) 出入筋の手続(裁許後) | (前)現代の「強制執行」や「破産」手続の概要につき各自で調べておく。 (後)配布資料・レジュメを再読し、講義の内容の理解に努める。 |
第18回 | 江戸幕府の出入筋(4) 江戸法と大坂法 | (前)事前配布資料により、比較的近年まで民事訴訟手続に地域性が存在したことを把握しておく。 (後)配布資料・レジュメを再読し、講義の内容の理解に努める。 |
第19回 | 江戸幕府の出入筋(5) 江戸法と大坂法(その2)-幕府による統一の試みと挫折- | 同上 |
第20回 | 明治初年の裁判組織(1) 司法と行政の分離-裁判制度と組織の整備 | (前)現代の裁判組織・裁判制度(審級制など)のおおよその全体像を各自で調べておく。 (後)配布資料・レジュメを再読し、講義の内容の理解に努める。 |
第21回 | 明治初年の裁判制度 司法と行政の分離-その実態 | 同上 |
第22回 | 明治初年の裁判組織(3) 裁判を担う人々とその新たな養成 | (前)現代の法曹養成制度(司法試験制度を含む)につき、各自で調べておく。 (後)配布資料・レジュメを再読し、講義の内容の理解に努める。 |
第23回 | 明治初年の断獄(1) 近世との連続性 | (前)現代の取調べの概略と「取調べの可視化」につき、各自で調べておく。 (後)配布資料・レジュメを再読し、講義の内容の理解に努める。 |
第24回 | 明治初年の断獄(2) 拷問廃止の過程 | 同上 |
第25回 | 明治初年の刑罰(1) 近世との連続性と統一に向けた歩み | (前)事前配布資料により、明治初年の律系刑法典の概要と特徴を理解しておく。 (後)配布資料・レジュメを再読し、講義の内容の理解に努める。 |
第26回 | 明治初年の刑罰(2) 律系刑法典の特徴 | (前)現代の「罪刑法定主義」につき、各自で調べておく。 (後)配布資料・レジュメを再読し、講義の内容の理解に努める。 |
第27回 | 明治初年の刑罰(3) 特別予防主義の全国的導入とその実態 | (前)現代の行刑施設の概要につき、各自で調べておく。 (後)配布資料・レジュメを再読し、講義の内容の理解に努める。 |
第28回 | 明治初年大阪府の裁判と刑罰(1) 組織の成立と近世との連続性 | (前)事前配布資料により、幕末から明治初年の大阪の状況につき、最低限の知識を得ておく。 (後)配布資料・レジュメを再読し、講義の内容の理解に努める。 |
第29回 | 明治初年大阪府の裁判と刑罰(2) 裁判・刑罰の近世との連続性と近代化への歩み | (前)現代における「遡及効の禁止」、「新法と旧法との関係性」につき、各自で調べておく。 (後)配布資料・レジュメを再読し、講義の内容の理解に努める。 |
第30回 | 明治初年若松県の裁判と刑罰-近世との断絶と新たな法・裁判 | (前)事前配布資料により、明治初年の若松県の状況につき、最低限の知識を得ておく。 (後)配布資料・レジュメを再読し、講義の内容の理解に努める。 |
第31回 | テスト |
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Updated on 2025/4/5 6:18:35