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2024年度/1ADA058001

【木1】国際貿易 <前期>

(公大) / 国際経済学特殊講義 (市大)

この授業は、ミクロ経済学の応用科目として、国際貿易関連の重要なトピックスを取り出して解説する。国際貿易は、国際貿易理論と国際貿易政策という2つの分野に分けられる。国際貿易理論は、主に国際貿易パターンの決定要因、貿易利益、国際貿易の資源配分と所得分配への影響を取り扱う分野である。国際貿易政策は、主に貿易政策手段の効果を考察する分野である。この授業では、この両分野のうち、下記のトピックスを取り出して解説する。 (1) 比較優位性理論としてのヘクシャー・オリーンモデル (2) 新貿易理論として登場したクルーグマンモデル (3) 新々貿易理論として登場したメリッツモデルとその拡張 (4) 関税の効果 (5) 輸出補助金の効果 (6) 地域経済統合の効果 上記のトピックスの中には、(1)~(3)は国際貿易理論分野の内容で、(4)~(5)は国際貿易政策分野の内容である。

担当教員氏名
韓 池
科目ナンバリング
ADAECO35028-J1 (公大) / EAAPJ4280 (市大)
授業管轄部署
経済学部
授業形態
講義
開講キャンパス
杉本
開講区分
週間授業
配当年次
3年 (公大) / 学年指定なし (市大)

注意: 配当年次は学部・学科によって異なる場合があるので、UNIPAで確認してください。学年指定なしの表記は、要覧等を確認してください。

単位数
2単位 (公大) / 2単位 (市大)

注意: 実際の単位数は学部・学科によって異なる場合があるので、必ずUNIPAで確認してください。

到達目標
この授業は、受講者が国際貿易関連の基礎知識の習得を通じて国際貿易の現実問題を理解・分析・解釈することができる能力を持つようになることを目標とする。具体的に、この授業の到達目標は下記のとおりである。
  • 国際貿易を解釈する各理論の相違点を理解した上でそれが説明できること。
  • 比較優位性理論としてのヘクシャー・オリーンモデルのもとで、国際貿易パターンの決定要因、貿易利益、国際貿易の資源配分と所得分配への影響が説明できること。
  • 新貿易理論としてのクルーグマンモデルのもとで、国際貿易パターンの決定要因、貿易利益が説明できること。
  • 新々貿易理論としてのメリッツモデルのもとで、国際貿易パターンの決定要因と貿易利益が説明できること。また、その拡張理論の下で、企業の生産性とその海外行動の間の関係が説明できること。
  • 余剰分析に基づいて伝統的貿易政策としての小国と大国の輸入税と輸出税の効果が説明できること。
  • 伝統的貿易政策と戦略的貿易政策としての輸出補助金の効果の相違を理解した上で、輸出補助金が戦略的貿易政策として利用される場合に、それはなぜ近隣窮乏化政策であるか、説明できること。
  • 地域経済統合の域内国と域外国の社会厚生への影響が説明できること。
各授業回の説明
授業授業内容事前・事後の学習内容
第1回イントロダクション国際貿易のアウトラインを把握する。
第2回ヘクシャー・オリーンモデル:比較優位性の決定(1)1次同次生産関数とは、どのような生産関数であるか。この関数は完全競争市場でなぜ必要となるか。 (2)ヘクシャー・オリーンモデルの生産可能性曲線(PPF)はどのような特徴を持っているか。その特徴と両国の要素賦存比率の間には何の関係があるか。 (3)限界変形率は何であるか。限界変形率はなぜ機会費用として解釈できるか。 (4)比較優位はなぜ要素賦存比率の相違によって決められることができるか。
第3回ヘクシャー・オリーンモデル:閉鎖経済のもとでの生産・消費の決定(1)消費者の効用最大化の問題と生産者の利潤最大化の問題を復習する。 (2)エッジワースのボックス・ダイアグラムに基づいて生産要素がどのように効率的に配分されるか。 (3)両国の間の生産要素と財の相対価格がそれぞれどう決められるか。
第4回ヘクシャー・オリーンモデル:開放経済のもとでの生産・消費の決定、要素価格均等化定理(1)閉鎖経済に比べて、開放経済における両国の生産要素と財の相対価格はどう変化するか。 (2)貿易三角形は何であるか。 (3)ヘクシャー・オリーンモデルの実質は何であるか。 (4)両国の間に生産要素の移動がないのに、両国の要素価格がなぜ均等化されるか。その条件は何であるか
第5回ストルパー・サミュエルソンの定理と国際貿易による所得分配効果(1)要素価格フロンティアはどのようなものであるか。 (2)労働者1人当たりの生産関数の曲線の切片と接線の傾きはなぜそれぞれ労働者と資本家の実質所得として解釈できるか。 (3)ヘクシャー・オリーンモデルによる貿易の所得分配効果は何であるか。それをもたらしてくる理由は何であるか。
第6回リプチンスキーの定理とリオンチェフの逆説(1)リプチンスキーの定理の着目点はどこにあるか。 (2)リオンチェフの逆説とはどのようなものであるか。
第7回新貿易理論として登場したクルーグマンモデル(1)独占的競争企業の短期的な市場均衡と独占利潤、長期的な市場均衡がどう決められるかを事前に復習する。 (2)産業内貿易指数はどう定義されるか。 (3)水平的産業内貿易とは何であるか。 (4)垂直的産業内貿易は何であるか。 (5)クルーグマンモデルより、貿易が行われる理由と貿易利益は何であるか。そのメカニズムは何であるか。
第8回新々貿易理論として登場したメリッツモデル(1)新貿易理論として登場したクルーグマンモデルと新々貿易理論として登場したメリッツモデルがどう違うか。 (2)メリッツモデルで企業の異質性がどう理解されるか。企業の生産性がどのように決められるか。 (3)なぜ産業内の一部の企業しか輸出できないか。 (4)経済統合の勝者と敗者がどのように理解されるか。 (5)メリッツモデルからみた新たな貿易利益とは何であるか。
第9回新々貿易理論として登場したメリッツモデルの拡張:企業の海外展開(1)アウトソーシングをどう理解するか。 (2)オフショアリングをどう理解するか。 (3)企業の生産性とその行動パターンの関係をどう理解するか。
第10回輸入税の効果(1)消費者余剰、生産者余剰、社会的余剰とは何であるか。死荷重とは何であるか。 (2)小国に比べて、大国の輸入税はなぜ大国の社会的余剰が改善可能であるか。
第11回輸出税の効果小国に比べて、大国の輸出税はなぜ大国の社会的余剰が改善可能であるか。
第12回伝統的貿易政策としての輸出補助金の効果関税と違って、大国の輸出補助金政策はなぜ大国の社会的余剰をも悪化させるか。
第13回戦略的貿易政策としての輸出補助金の効果(1)戦略的貿易政策とは何であるか。 (2)戦略的貿易政策としての輸出補助金の効果と伝統的貿易政策としての輸出補助金の効果はどう違うか。
第14回地域経済統合の効果(1)WTOの基本原則は何であるか。 (2)地域経済統合の形式が何種類あるか。 (3)地域経済統合はなぜWTOの原則に反しないか。 (4)地域経済統合は域内国の社会的厚生を改善することができるか。
第15回まとめ各トピックスのポイントをつかむ。
成績評価方法
(1)達成目標(1)から(8)までのすべての項目の能力の達成度に基づいて成績評価を行う。 (2)成績は、宿題(30%)と本テスト(70%)によって評価される。 (3)単位習得の基準は以下のとおりである。 ① すべての達成目標が大体できる場合、60点以上 ② すべての達成目標がかなりの程度までできる場合 70点以上 ③ すべての達成目標が十分できる場合 80点以上 ④ ③のうち、特に優秀な方 90点以上
履修上の注意
(1)この授業はミクロ経済学の応用科目としてミクロ経済学を受講する前提のもとで履修する必要がある。 (2)事前に授業内容を予習すること。 (3) 宿題をきちんと解いて、指定どおりの時間に提出すること。 (4)疑問があれば、残さずにすぐ聞くこと。 (5)無断に欠席しないこと。
教科書
教科書が特にない。プリントを配布する。

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参考文献
(1)Helpman E. 『グローバル貿易の針路をよむ』  本多 光雄、井尻 直彦(訳)文眞堂 2012年 (2)石川城太、椋寛、菊地徹 『国際経済学をつかむ 第2版』 有斐閣 2013年 (3)クルーグマン、オブストフェルド、メリッツ 『クルーグマン国際経済学 理論と政策 [原書第10版] 上 貿易編』 山形浩生、守岡桜(訳)丸善出版 2017年 (4)Feenstra Robert C. and Alan M. Taylor, International Economics (4 thedition). Worth Publishers, 2017. (5)友原章典 『理論と実証から学ぶ 新しい国際経済学』ミネルヴァ書房 2018年 (6)多和田 真、柳 瀬『国際貿易―モデル構築から応用へ』 名古屋大学出版会 2018年
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Updated on 2025/4/5 6:37:30

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