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2024年度/1FCB625010

【月4】国際財産法 <後期>

(公大) / 国際財産法特論 (公大) / 国際財産法 (市大)

この授業は講義形態で行われる。この授業では、狭義の国際私法(渉外的な法的問題への準拠法の決定・適用を扱う)のうち、各論の国際財産法および総論の財産法関係の部分を扱う。その中心的な法典は、法の適用に関する通則法4条以下〔以下、「通則法」と略す。なお、以下ではその条文を条文番号のみで引用する。〕である。

担当教員氏名
国友 明彦
科目ナンバリング
FCALAW84025-J1 (公大) / BCALAW62027-J1 (公大) / JAAPP8913 (市大)
授業管轄部署
ロースクール
授業形態
講義
開講キャンパス
杉本
開講区分
週間授業
科目分類
展開・先端科目
配当年次
2年 (公大) / 1年 (公大) / 2年 (市大)

注意: 配当年次は学部・学科によって異なる場合があるので、UNIPAで確認してください。

単位数
2単位 (公大) / 2単位 (公大) / 2単位 (市大)

注意: 実際の単位数は学部・学科によって異なる場合があるので、必ずUNIPAで確認してください。

到達目標
狭義の国際私法の基本構造、基本的な概念の意味と用法、財産法分野の主要な条文や条理による準則の趣旨・目的とそれらの体系的な関係を説明し、この分野の主要な法律問題を解決できるようになることがこの授業の目標である。
各授業回の説明
授業授業内容
第1回序論(「国際私法と統一法」を含む。)   国際私法が財産法分野で実際に用いられる例を挙げて解説する。 次に、国際私法と統一法の関係について検討する。 さらに、国際私法の目的と方法、国際私法の法的性質、国際私法の法源、国際私法の構造等について解説する。
第2回契約(1): 当事者自治  まず、契約の準拠法の明示的指定(7条)に関する一般的な諸問題について検討する。すなわち、当事者自治の原則の意義と根拠について確認した上、黙示の意思推定 について検討する。準拠法指定行為(準拠法選択)の有効性、非国家法の準拠法適格性についても解説する。次に、分割指定ならびに実質法的指定と抵触法的指定の区別について東京地判平成14・2・26百選27事件を素材として検討する。あわせてここで債権の消滅時効の問題も取り上げる。
第3回契約(2): 客観的連結 、準拠法の事後的変更 当事者による準拠法選択のない場合における8条1項の最密接関係地法の原則と同条2項の特徴的給付の理論による推定について確認し、東京地判令和元・8・27百選28事件等の具体的事案への適用について考える。また、明示の準拠法選択がない場合の黙示の意思推定は7条解釈の問題であるが、客観的連結すべき場合との区別が問題となることから、便宜上ここで扱う。最後に、契約準拠法の事後的変更(9条)について東京高判平成30・8・22百選29事件を素材として検討する。
第4回契約(3): 消費者契約・労働契約、法律行為の方式   消費者契約と労働契約に関する特則(11~12条)について解説・検討する(労働法に関して必要な予備知識については簡単に解説する)。労働契約に関しては絶対的強行法規に関する東京地決昭和40・4・26百選14事件(インターナショナルエアサービス事件)、黙示の意思に関する東京地判平成9・10・1百選<第2版>(2012, 別冊ジュリ210)36事件(ルフトハンザ事件)、労務給付地の決定等に関する東京地判平成28・9・20百選31事件(BGCキャピタルマーケッツジャパンLLCほか事件)を素材に検討する。消費者契約については、東京地判平成29・1・17百選30事件(MRIインターナショナル事件)等を素材に検討する。ここであわせて定型約款による準拠法指定行為の有効性の問題も扱う。さらに,10条の法律行為の方式の基礎的事項についてその理解を確認する。
第5回不法行為 (1): 通常の不法行為 17条1項の不法行為地法主義(結果発生地法主義)の根拠についての理解を確認した上、東京高判平成30・1・16百選34事件((投資に関する虚偽説明))、東京高判令和元・9・25令和2年度重要判例解説〔以下「重判解」で引用〕(ジュリ1557号)国際私法4事件(不貞行為の結果発生地)などを素材としてその解釈について検討する。また、公海上の不法行為について東京高決平成29・1・16百選38事件(船舶衝突)などを素材にして説明する。続いて、例外条項たる20条、当事者自治を認める21条、特別留保条項である22条の解釈について検討する。
第6回不法行為 (2): 生産物責任,名誉毀損 特別の不法行為に関する規定、すなわち、生産物責任に関する18条と名誉毀損に関する19条の解釈論について検討する。 プライバシー権侵害について19条が適用によるかどうかについても東京地判平成28・11・30百選36事件を素材にして論じる。
第7回不法行為 (3): 逸失利益と慰謝料の算定、事務管理・不当利得 民法上の問題ではあるが、一時滞在外国人被害者の逸失利益の算定基準(最判平成9・1・28百選<第2版>45事件)とそのような者が死亡した場合などの慰謝料の算定の考え方についても検討する。その後、事務管理および不当利得の準拠法(14~16条)に関して、前者についての広島地呉支判昭和45・4・27百選32事件、後者についての東京高判平成31・1・16百選33事件を素材に解説する。
第8回物権 (1) 物権に関する所在地法主義(13条)とその限界(最判平成14・10・29百選23事件)について検討する。また、船舶・航空機の物権に特有の問題について松山地判平成6・11・8百選24事件等を素材に考察する。
第9回物権 (2)  法律行為による物権変動における債権的法律行為の準拠法と物権準拠法の関係について解説する。いわゆる法定担保物権の準拠法(水戸地判平成26・3・20百選25事件[船舶先取特権])について検討する。
第10回自然人の行為能力等、代理 自然人に関して、行為能力一般の準拠法(4条)、特に取引保護主義について検討する。失踪宣告、制限能力者の保護(後見開始の審判等)(5条、6条)についても簡単に解説する。続いて任意代理(名板貸しなども含む)について神戸地決昭和34・9・2百選22事件などを素材に検討する
第11回法人  法人に関して、抵触法上の問題と外人法上の問題に分けて検討する。まず、抵触法上の問題としては、法人の属人法(従属法)としての設立準拠法主義の趣旨について確認した上、属人法の適用範囲、特に法人代表(東京地判平成4・1・28百選19事件)や法人格否認(東京高判平成29・6・29百選20事件)などを取り上げる。外人法上の問題としては、外国法人の認許(民法35条)の意義について説明した上、会社法の外国会社に関する規定(817条以下)と「外国会社の登記」規定(933条以下)のうち主要なものを確認する。
第12回債権債務関係  債権譲渡など、3人以上の当事者が関係する債権債務関係および債権一般に関する問題について検討する。すなわち、債権譲渡(東京地判昭和42・7・11百選<第2版>46事件)、債権質(最判昭和53・4・20百選37事件[バンコク銀行事件])について、方式の問題も含めて検討する。あわせて、保険金先取特権(東京高決平成29・6・30百選38事件)についても解説する。保険代位(神戸地判昭和45・4・14百選<第2版>48事件)、相殺、詐害行為取消権(東京地判平成27・3・31(平成27年度重判解[ジュリ1492号]国際私法2事件) )もここで取り上げる。さらに、金銭債権のうち弁済の通貨の国際私法上の問題と民法上の問題(最判昭和50・7・15百選39事件)についてもここで簡単に取り上げる。
第13回知的財産権(1): 属地主義の原則、外国知的財産権にもとづく請求  知的財産法の基礎と国際的保護のうち国際私法の観点から重要な点について解説した上,外国特許権にもとづく請求についての最高裁判例(最判平成14・9・26百選41事件[FM信号復調装置事件、カードリーダー事件])について検討する。
第14回知的財産権 (2): ベルヌ条約と国際私法、知的財産権と契約  文学的及び美術的著作物の保護に関するベルヌ条約が国際私法規定を含んでいるかどうかについて検討する。さらに、知的財産権と契約について、職務発明(最判平成18・10・17百選42事件[日立製作所事件])と著作権の譲渡(東京高判平成15・5・28百選44事件[ダリ事件]など)について判例を中心に検討する。
第15回不正競争、補遺、全体の復習  受講者の希望にもよるが、不正競争について簡単に解説する。その後、これまでの回で省略した箇所についての解説、問題演習などを行なう。
第16回期末試験
事前・事後学習の内容
事前学習: 受講者には、下記のような国際私法の概説書や百選などについて予習することを求める。予習課題には質問形式のQと簡潔に書かれた文献を指定してそれを読んでくることを求めるものがある。 予習課題は必須の課題と任意の課題に分ける。ケースブックの予習課題のうちには、高度なもの、少数説についてのものも含まれており、また、学習範囲の広さと深さの程度についての受講者の希望も異なっていることもありうるからである。 事後学習: 講義の内容を整理して、知識の定着を図ること。 希望者のみ対象の課題:講義内容の復習、事例について法的解決を考える能力の涵養、論理的な文章を書く訓練のため、希望者向けに数回演習問題(事例式問題)を出し、希望者に文書ファイルのかたちで解答を書いてメールで送っていただき、添削して返し、授業の中で講評を行なう。
成績評価方法
絶対評価。学期末の試験80%,各回の予習課題で示したQへの解答など授業への参加状況 20%。到達目標の達成度について評価を行なう。期末試験では,この分野の主要な法律問題についての事例式問題を出題する。C(合格)となるためには、国際家族法の基礎的事項について理解した上で、その問題についての中心的な論点は何かを見つけ、〔制定法の解釈が問題となる場合〕中心的な根拠条文について当てはめを行なうことが必要である。さらに良い評価を獲得するため、重要な論点については自己の採る立場につき理由を示することが望ましい。また、自説と異なる説がある場合、主要なものだけで良いが、それに対する批判を述べることが望ましい。 期末試験の答案につき,希望があれば添削して個別に講評する。
履修上の注意
特になし。
教科書
百選: 道垣内(どうがうち)正人=中西康編『国際私法判例百選<第3版>』(2021, 有斐閣, 別冊ジュリスト256号) 演習書:道垣内正人=中西康=竹下啓介=中村知里『判例百選で学ぶ国際私法』(2023, 有斐閣) (上記演習書で足りない部分について次のケースブックのQを取り上げることがある: 櫻田嘉章=道垣内正人編『ロースクール国際私法・国際民事手続法[第3版]』(2012, 有斐閣) もっとも,取り上げるQは予習課題に抜粋するのでこれを買う必要はない。) 概説書は指定しないが、以下の3冊を推薦する。このうち1冊以上を用意すること。 【9. 6. 改訂】澤木敬郎(たかお)=道垣内正人『国際私法入門[第9版]』(2024, 有斐閣双書) 【8月30日刊行】〔コンパクトな割には取り上げている論点が多い。〕 神前(かんざき)禎(ただし)=早川吉尚(よしひさ)=元永和彦『国際私法[第4版]』(2019, 有斐閣アルマ)〔比較的わかりやすく書かれており、入門に適していると思われる。他面、取り上げられていない論点が多い。〕 中西康=北澤安紀(あき)=横溝大(だい)=林貴美(たかみ)著『国際私法[第3版]』(2022, 有斐閣Legal Quest)〔全体について4人の意見を反映させており、客観性に優れている。〕 六法: 授業で毎回使用する。小型のものでいいので持参すること。 * 適宜、レジュメ・資料などを講義時に配布する。

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参考文献
入門書:多田望(のぞみ)=長田真里=村上愛=申美穂『国際私法〔第2版〕』(2024. 3., 有斐閣ストゥディア) 主要な参考書のうちコンパクトなもの: 道垣内正人『ポイント国際私法 総論[第2版]』(2007, 有斐閣)、 同『ポイント国際私法 各論[第2版]』(2014, 有斐閣) 櫻田嘉章=佐野寛=神前禎編『演習国際私法 CASE30』(2016, 有斐閣)
オフィスアワー
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教員への連絡方法(メールアドレス等)
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その他
・もし研究指導の希望があれば、研究レポートの作成につき助言を行なう。 ・司法試験の国際関係法(私法系)の出題範囲には、「国際取引法」、具体的には,インコタームズ、国際物品売買に関する国際連合条約(CISG)、国際海上物品運送法なども含まれているが、これらはこの講義では取り上げず、希望者がいれば補講(3~5コマ程度)をする。 ・法学政治学専攻開講科目「国際財産法特論」との合同開講とする。

Updated on 2025/4/5 6:20:14

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