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2024年度/2B30278001 (府大)

【火3】固体物理学B <前期>

最初は、固体の力学的な性質について、物質中を伝播する弾性波と関連づけて説明します。 その後、固体結晶中における格子振動について、単原子1次元格子モデルと2原子1次元格子モデルを取り上げ、数学的な取り扱いを説明すると共に、数式から得られた結果と力学的な物理量との関係を説明します。また、音響フォノンモードや光学フォノンモードなど、格子振動の種類(モード)についても説明します。 次に、固体比熱を、エネルギー等分配則に基づいた古典的な考え方、格子振動を量子論的に取り扱ったアインシュタインモデル、格子振動を量子力学的に取り扱うと共に状態密度までも考慮したデバイモデルに基づいて、考え方や数学的な取り扱い方を説明していきます。 次に、金属中の自由電子が比熱に及ぼす影響を考慮するために、金属固体中の自由電子の状態密度,金属固体中の自由電子が従うフェルミ・ディラック統計の考え方を説明し、それを用いて自由電子系の低温比熱について、量子論的な考え方から説明します。 次に、物質中の熱伝導や電気伝導について、フォノンが寄与する機構と電子が寄与する場合とに分けて説明を行い、オームの法則などに関連づけます。 最後に、物質の磁気的な性質について定性的な説明をおこない、ミクロな磁気モーメントの考え方であるボーア磁子についてまず説明し、金属の磁気的性質について、キュリー常磁性やパウリ常磁性を具体例に挙げ、その考え方と数学的な取り扱いについて説明します。

担当教員氏名
河相 武利
科目ナンバリング
CSPHY3420-J1 (府大)
授業管轄部署
理学部
授業形態
講義
開講キャンパス
中百舌鳥
開講区分
週間授業
配当年次
3年 (府大)

注意: 配当年次は学部・学科によって異なる場合があるので、UNIPAで確認してください。

単位数
2単位 (府大)

注意: 実際の単位数は学部・学科によって異なる場合があるので、必ずUNIPAで確認してください。

到達目標
固体物理学Aに引き続き、結晶固体の熱的性質を主として格子振動の観点から学びます。 1.格子振動における単原子1次元モデルと2原子1次元モデルの考え方や数学的な取り扱い理解し、それを元にそれらより少し複雑な格子振動モデルを取り扱えること。 2.音響フォノンと光学フォノンの振動の様子、分散関係を書き表せ、その違いを説明できること。 3.固体比熱における古典モデル,アインシュタインモデル,デバイモデルの考え方の違いを説明でき、その数学的な取り扱いが出来ること。また高温と低温での挙動について、物理的内容を元に説明できること。 4.エネルギーの量子化について説明でき、そのエネルギーを計算できること。 5.状態密度を導出する考え方を理解し、色々な次元にに対して応用できること。 6.フェルミ粒子とボーズ粒子の違いを説明できること、及び具体的な粒子、疑似粒子を上げられること。 7.自由電子気体の考え方を理解し、フェルミ準位やフェルミ球などの概念を理解し、それらに関係した物理量を具体的に計算できること。 8.金属の磁気的性質や電気的性質について、初歩的な内容を理解し説明できると共に、数学的な取り扱いができること。 レポート課題や期末試験の解答においては、導出課程を明確にし、答えに至った道筋や考え方が分かるように文章で説明できることも重要な目標です。また、これら授業と直接関係ある目標とは別に、物理科学を学んでいく上で必要と思われる基礎知識や能力を有していることも、この授業の目標とします。 また、人の話す内容を的確にノートにまとめることやとっさの質疑に応答できることも目標に入れます。これらは、本授業を受けるに当たって必要であると共に、社会に出でも必要である能力と考えています。
各授業回の説明
授業授業内容事前・事後の学習内容
第1回授業受けるに当たっての心構えと半期で行う講義内容全体についての概略を説明します。また、時間外で受けるWeb小テストについての説明を行います。固体物理学Aの授業内容をしっかりと復習しておくこと。
第2回固体の力学的な性質について、物質中を伝播する弾性波と関連づけて説明します。黒沢達美 著『基礎物理学選書・物性論』裳華房のp.28~p.29あたりを良く読んでおくこと。
第3回固体結晶中における格子振動について、単原子1次元格子モデルを取り上げ、数学的な取り扱いを説明すると共に、数式から得られた結果と力学的な物理量との関係を説明します。黒沢達美 著『基礎物理学選書・物性論』裳華房のp.24~p.27あたりを良く読んでおくこと。 A.ギニエ,R.ジュリアン 著、渡辺正,黒田和男共訳『固体の科学』マグロウヒルのp.18~p.22あたりを良く読んでおくこと。 内島俊雄,岡崎誠 編者『応用化学講座・基礎物性化学』朝倉書店のp.20~p.23あたりを良く読んでおくこと。 近角聰信 著『物性科学選書・物性科学入門』裳華房のp.79~84あたりをよく読んでおくこと。
第4回固体結晶中における格子振動について、2原子1次元格子モデルを取り上げ、音響フォノンモードと光学フォノンモードの導出を行い、それらの違い等について説明します。黒沢達美 著『基礎物理学選書・物性論』裳華房のp.30~p.33あたりを良く読んでおくこと。 A.ギニエ,R.ジュリアン 著、渡辺正,黒田和男共訳『固体の科学』マグロウヒルのp.41~p.48あたりを良く読んでおくこと。 内島俊雄,岡崎誠 編者『応用化学講座・基礎物性化学』朝倉書店のp.23~p.25あたりを良く読んでおくこと。 近角聰信 著『物性科学選書・物性科学入門』裳華房のp.84~86あたりをよく読んでおくこと。
第5回エネルギー等分配則について説明すると共に、古典的な考えに基づいて固体比熱を説明します。A.ギニエ,R.ジュリアン 著、渡辺正,黒田和男共訳『固体の科学』マグロウヒルのp.1~p.8あたりを良く読んでおくこと。 黒沢達美 著『基礎物理学選書・物性論』裳華房のp.30~p.33あたりを良く読んでおくこと。 内島俊雄,岡崎誠 編者『応用化学講座・基礎物性化学』朝倉書店のp.26~p.27あたりを良く読んでおくこと。
第6回格子振動に関係する基準振動を説明し、固体比熱を考える上で、格子振動を量子論的に取り扱ったアインシュタインモデルについて、説明します。黒沢達美 著『基礎物理学選書・物性論』裳華房のp.20~p.23あたりを良く読んでおくこと。 A.ギニエ,R.ジュリアン 著、渡辺正,黒田和男共訳『固体の科学』マグロウヒルのp.9~p.15あたりを良く読んでおくこと。 内島俊雄,岡崎誠 編者『応用化学講座・基礎物性化学』朝倉書店のp.29~p.33あたりを良く読んでおくこと。 近角聰信 著『物性科学選書・物性科学入門』裳華房のp.86~97あたりをよく読んでおくこと。
第7回境界条件について考え、格子振動に対する状態密度について説明します。黒沢達美 著『基礎物理学選書・物性論』裳華房のp.35~p.38あたりを良く読んでおくこと。 A.ギニエ,R.ジュリアン 著、渡辺正,黒田和男共訳『固体の科学』マグロウヒルのp.15~p.17、p.30~p.31あたりを良く読んでおくこと。 内島俊雄,岡崎誠 編者『応用化学講座・基礎物性化学』朝倉書店のp.33~p.34あたりを良く読んでおくこと。 近角聰信 著『物性科学選書・物性科学入門』裳華房のp.86~97あたりをよく読んでおくこと。
第8回格子振動を量子論的に扱うと共に、状態密度を考慮したデバイ固体比熱モデルについて説明します。また、格子比熱の3つのモデルについて、まとめます。黒沢達美 著『基礎物理学選書・物性論』裳華房のp.38~p.42あたりを良く読んでおくこと。 A.ギニエ,R.ジュリアン 著、渡辺正,黒田和男共訳『固体の科学』マグロウヒルのp.27~p.34あたりを良く読んでおくこと。 内島俊雄,岡崎誠 編者『応用化学講座・基礎物性化学』朝倉書店のp.34~p.36あたりを良く読んでおくこと。 近角聰信 著『物性科学選書・物性科学入門』裳華房のp.86~97あたりをよく読んでおくこと。
第9回金属固体中における自由電子について、その振る舞いとエネルギーについて説明すると共に金属固体中の自由電子の状態密度について説明します。黒沢達美 著『基礎物理学選書・物性論』裳華房のp.49~52あたりを良く読んでおくこと。 A.ギニエ,R.ジュリアン 著、渡辺正,黒田和男共訳『固体の科学』マグロウヒルのp.89~p.91あたりを良く読んでおくこと。 内島俊雄,岡崎誠 編者『応用化学講座・基礎物性化学』朝倉書店のp.41~p.43あたりを良く読んでおくこと。 近角聰信 著『物性科学選書・物性科学入門』裳華房のp.136~140あたりをよく読んでおくこと。
第10回金属固体中の自由電子が従うフェルミ・ディラック統計の考え方について説明すると共に、フェルミエネルギーの概念について説明します。黒沢達美 著『基礎物理学選書・物性論』裳華房のp.53~p.54あたりを良く読んでおくこと。 A.ギニエ,R.ジュリアン 著、渡辺正,黒田和男共訳『固体の科学』マグロウヒルのp.92~p.96あたりを良く読んでおくこと。 内島俊雄,岡崎誠 編者『応用化学講座・基礎物性化学』朝倉書店のp.43~p.44あたりを良く読んでおくこと。
第11回フェルミエネルギーの数学的な取り扱いについて説明すると共に、それを用いて自由電子系の低温比熱について、量子論的な考え方から説明します。黒沢達美 著『基礎物理学選書・物性論』裳華房のp.54~p.58あたりを良く読んでおくこと。 A.ギニエ,R.ジュリアン 著、渡辺正,黒田和男共訳『固体の科学』マグロウヒルのp.97~p.100あたりを良く読んでおくこと。 内島俊雄,岡崎誠 編者『応用化学講座・基礎物性化学』朝倉書店のp.44~p.47あたりを良く読んでおくこと。
第12回物質中の熱伝導について、フォノンが寄与する機構と電子が寄与する場合とに分けて説明します。黒沢達美 著『基礎物理学選書・物性論』裳華房のp.42~p.48、p.68~p.70あたりを良く読んでおくこと。 A.ギニエ,R.ジュリアン 著、渡辺正,黒田和男共訳『固体の科学』マグロウヒルのp.53~p.61あたりを良く読んでおくこと。 内島俊雄,岡崎誠 編者『応用化学講座・基礎物性化学』朝倉書店のp.37~p.39あたりを良く読んでおくこと。
第13回金属固体中における電子の振る舞いについて、オームの法則に関連させながら、説明します。黒沢達美 著『基礎物理学選書・物性論』裳華房のp.61~p.67あたりを良く読んでおくこと。 A.ギニエ,R.ジュリアン 著、渡辺正,黒田和男共訳『固体の科学』マグロウヒルのp.84~p.88あたりを良く読んでおくこと。 内島俊雄,岡崎誠 編者『応用化学講座・基礎物性化学』朝倉書店のp.48~p.51あたりを良く読んでおくこと。 近角聰信 著『物性科学選書・物性科学入門』裳華房のp.154~160あたりをよく読んでおくこと。
第14回物質の磁気的な性質について定性的な説明をおこない、ミクロな磁気モーメントの考え方であるボーア磁子について説明します。黒沢達美 著『基礎物理学選書・物性論』裳華房のp.100~p.107あたりを良く読んでおくこと。 A.ギニエ,R.ジュリアン 著、渡辺正,黒田和男共訳『固体の科学』マグロウヒルのp.154~p.166あたりを良く読んでおくこと。
第15回金属の磁気的性質について、キュリー常磁性やパウリ常磁性を具体例に挙げ、その考え方と数学的な取り扱いについて説明します。黒沢達美 著『基礎物理学選書・物性論』裳華房のp.107~p.109あたりを良く読んでおくこと。 内島俊雄,岡崎誠 編者『応用化学講座・基礎物性化学』朝倉書店のp.121~p.122あたりを良く読んでおくこと。 近角聰信 著『物性科学選書・物性科学入門』裳華房のp.231~237あたりをよく読んでおくこと。
第16回授業目標に達しているかどうか判断するために、試験を行います。
事前・事後学習の内容
講義が始まるまでに、固体物理学Aの授業内容を充分に復習しておいて下さい。半年で三回ほど課題レポートを出しますが、締め切りまで十分な期間をおいて出しますから、日頃から少しずつ解くように心がけ、締め切りに遅れないように提出して下さい。また、当大学の授業支援システム(Moodle)をつかって、毎回10分から20分程度のWebテストを行います。次回の授業日までに授業時間外を利用して解答、復習するようにして下さい。 また、授業で用いる補助プリントを事前に授業支援システム上にアップロードしますので、各授業が始まる前にダウンロードした上で、30分程度時間をかけて予習し、授業補助プリントを授業に持参するようにして下さい。
成績評価方法
成績は、授業支援システム上のWeb小テスト30%,レポート課題を30%、前期末試験(90分)を40%として、総合的に評価します。従って、前期末試験の点数が例え8割を超えていても、Web小テストやレポート課題の評価点が悪ければF評価になります。これは日頃からしっかりと勉強する習慣を重視しているためです。 Web小テスト、レポート課題、前期末試験の内容は、授業目標に沿った内容であると共に、物理科学を学んでいく上で必要と思われる基礎知識・能力を含みます。Web小テスト、レポート課題、前期末試験は、6割の評価で目標を達成してしているものとします。従って、総合的な評価が60点以上で合格となります。 なお、Web小テストと課題レポートには締め切り日を設定しています。締め切り日を過ぎたものについては、ゼロ点と扱いますので、締め切り日を厳守して下さい。また、原則期末試験における追試や再試を行いませんので、試験当日までの体調管理に気をつけて試験に臨んで下さい。
履修上の注意
提出レポート等の受理・不受理や評価は、本大学の授業支援システム(Moodle)上で知らせますので、各人授業支援システムで内容を確認して下さい。内容が事実と異なる場合は、速やかに担当教員まで連絡して下さい。 授業は、基本的に対面授業として実施します。私自身の急病や出張によって補講を行う場合など、非同期型オンライン授業(オンデマンド授業)で対応する場合があります。
教科書
特に教科書は指定しません。授業補助プリントを中心に授業を進めます。授業補助プリントやレポート課題、解答例などに関する印刷物は、授業支援システム上からダウンロード・印刷して下さい。(配布用シラバス以外、印刷物を配布することはありません)

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参考文献
◎チャールズ・キッテル 著、宇野良清,他 共訳『キッテル固体物理学入門』丸善 ◎A.ギニエ,R.ジュリアン 著、渡辺正,黒田和男共訳『固体の科学』マグロウヒル ◎内島俊雄,岡崎誠 編者『応用化学講座・基礎物性化学』朝倉書店 ◎黒沢達美 著『基礎物理学選書・物性論』裳華房 ◎近角聰信 著『物性科学選書・物性科学入門』裳華房
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(関連科目)固体物理学A、固体物理学C、固体物理学D、量子力学

Updated on 2025/4/5 6:24:52

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