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2024年度/2B30378001 (府大)

【水4】幾何学IV <後期>

現代数学において, 図形などの幾何学的な対象を調べるための方法論としては, 微積分などを用いる微分幾何学・微分位相幾何学, そして代数的手法を用いる代数的位相幾何学の2つがある. この講義は, 後者の代数的位相幾何学において非常に重要な役割を果たす「ホモロジー群」を理解することを目的としている. ホモロジー群は100年以上昔にポアンカレによって導入された概念であり, 純粋数学の領域において広く応用されてきたのに加え, 近年ではデータ解析のための新しい道具としても注目されている(パーシステントホモロジーの医療研究への応用など). 以上に述べた通り, ホモロジー群の概念を理解し計算できるようになることは, 純粋数学においても応用面においても非常に重要である. 本講義では, 多面体のホモロジー群を中心に学習することにより, 前出のパーシステントホモロジー群の理解にも十分な予備知識を獲得できる. もちろん, より高度な代数的位相幾何学を学習するのに際しても, 多面体のホモロジー群の理解は必要なものである.

担当教員氏名
蓮井 翔
科目ナンバリング
CSMAT3312-J1 (府大)
授業管轄部署
理学部
開講キャンパス
中百舌鳥
開講区分
週間授業
配当年次
3年 (府大)

注意: 配当年次は学部・学科によって異なる場合があるので、UNIPAで確認してください。

単位数
2単位 (府大)

注意: 実際の単位数は学部・学科によって異なる場合があるので、必ずUNIPAで確認してください。

到達目標
この講義はホモロジー論の基礎の習得を目標とし, 加えて, セミナー(輪読)形式の講義を通じて参加者の基礎的な論証能力の向上を目指すものである. この講義では, まず多面体のホモロジー群をどのように定義するかを学習した後, 一般の位相空間に対してどのようにホモロジー群を定義するか, ホモロジー群というものがどのような性質を持っているか, そしてどのように計算できるのかを学習する. 言い換えるならば, 本講義の目標はホモロジー群というものの一般論, およびその基礎的な計算方法を習得することである. より具体的には, 以下の能力を身に付けることが達成目標である. 1. 多面体の組合せ構造を決める単体複体の概念を理解すること. 2. 単体複体の重心細分を理解すること. 3. 単体写像が定める多面体間の連続写像の概念を理解すること. 4. ホモロジー群の定義と計算に必要な加群の概念を理解し, 計算ができるようになること. 5. 単体複体のホモロジー群の定義を理解し, 簡単な単体複体について定義に基づいた直接計算ができること. 6. ホモロジー群を計算する強力な道具であるマイヤー・ビートリス完全系列を理解し, 実際の計算に応用できること. 7. ホモトピーの概念とホモロジー群との関係を理解すること. 8. 多面体だけでなく一般の図形に対してホモロジー群が定義できることを理解し, 簡単な図形のホモロジー群が計算できるようになること. ただし, セミナー形式の講義であるという性質上, 上記の目標をどこまで達成できるかはセミナーの進度次第である. また, これらに加えて, セミナー一般に関する能力という面では以下の事項が達成目標となる. 9. スムーズに発表が行えるよう, 十分な事前準備ができる. (きちんとノートを作ってくる, 発表の段取りをきちんと頭に入れられている, 等) 10. テキストの行間(テキストに書かれていること以上の補足的な説明が必要となる部分)を見落とさず, またそれらを自分で埋められる. 11. 単に正しい説明ができるというだけに止まらず, 聞き手に分かりやすくなるような発表上の工夫ができる. (概要を述べたり図示することで正確な話の前に噛み砕いた形で説明する, 話の流れが分かりやすいよう見出しをつけていくつかの部分に分ける, 等)
授業内容
初回はセミナー(輪読)という方式について実践を交えて説明した後, 1巡目の発表順の割り当てを行う(ハンドアウト等を事前に講義ページにアップしておくので, 各自確認し, 必要と思えば印刷して持ってくること). 2回目以降はその発表順に従い, 各回3名ずつを目処に口頭と板書にて発表を行ってもらう. (つまり各人持ち時間30分. また, 時間が足りなかった場合は1巡ごとに1度のみ次回に持ち越し可とする.) 2巡目以降の発表順の割り当ては適宜行う.
事前・事後学習の内容
本講義は上記教科書を用いた輪読形式(1回につき3名が発表する予定)で行う. 各自の担当部分を入念に予習し発表ノートを作成した上, 他の参加者の担当部分についても一読はしておくこと.
成績評価方法
授業目標の欄で述べた目標の達成度で成績評価を行う. 具体的な方法としては, 各回の発表を以下のような基準に則って採点する: 発表準備をしっかりしてきているか, 発表している内容についてきちんと理解できているか, きちんと証明等の行間を埋められているか, 他の参加者の理解に資するような工夫があるか. テキストの内容をそのまま述べるだけの発表は0点であり, テキストよりも分かりやすくなるよう説明を工夫する, テキストの行間を埋める等, テキストにプラスできた部分が評価対象となる. 参加人数にもよるが, 1度の発表に対して0点から20点程度の範囲で点数を与え, 講義を通しての合計値を各人の成績とする(上限100点, 60点以上で合格). 評価の観点等については初回講義にてより詳しく説明を行うが, 合格の基準としては, 最低限以下の2つの要件を満たすこととする. (i) スムーズに発表が行えるよう, きちんとノートを作ってくるなどの準備ができること. (ii) テキストの行間(テキストに書かれていること以上の補足的な説明が必要となる部分)をある程度自分で見つけられること. なお, 参加人数が多く各人に十分な発表回数を割り振ることができない場合, 発表の内容について聞き手側にも質問を行い, その回答に対する評価も成績に反映する.
履修上の注意
この講義はセミナー(輪読)形式であるため, 通常の講義とは異なり, 受講する各人の準備が講義の進行に直接影響することになる. 受講する場合はまずこの点をしっかり認識しておいてほしい. また, 初回講義にて担当箇所の割り振りを行うので, それまでに履修登録を行なった上で必ず参加すること. 数学的な内容としては, 線形代数や幾何学I (位相空間の基礎)および幾何学III (多様体の基礎)の講義内容を一通り理解していることを要請する. (各人の発表時間に限りがあり, そうした基本事項についての復習を挟む余裕がないため.) 前項(成績評価方法)を読めば分かる通り, この講義ではテキストよりも分かりやすく説明できるか, テキストでは省かれているが厳密には説明が必要な事柄に気づけるか, といった点のみが評価対象となる. この講義に参加する場合, テキストを独力で読んで自分の中で理解できるということが大前提であるという認識を持ってほしい. なお, このように要求水準の高い講義なので質問は常にメールにて受け付けるが, 教員側の都合もあるので, 例えば発表前日に質問があっても回答できない可能性があることには注意してほしい.
教科書
田村一郎著「トポロジー」岩波書店(この本はオンデマンド書籍のため書店では購入できない.)

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参考文献
中岡稔著「復刊 位相幾何学―ホモロジー論」共立出版
オフィスアワー
- 外部公開シラバスのためデータがありません / Please use UNIPA syllabus -
教員への連絡方法(メールアドレス等)
- 外部公開シラバスのためデータがありません / Please use UNIPA syllabus -
その他
(関連科目)幾何学入門, 幾何学, 代数学入門, 応用幾何学IA・IB.

Updated on 2025/4/5 6:31:06

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