2025年度/1AJA030001
【木1】衛星システム設計学 <後期>
本講義では,航空宇宙分野のシステム設計に不可欠なシステム工学の基本的な考え方,手法を取り上げる.なお,本講義とこれに引き続く「航空宇宙システム工学」と合わせることで,航空宇宙システムの設計を行うための方法論としてのシステム工学の入門講義となる.なお,システム工学とは,システムを設計するための方法論であり,関連するさまざまな工学分野をまとめ上げるための考え方である. システムの価値として,「経済性」,「開発期間」,「性能」,「信頼性」の4項目があり,互いにトレードオフの関係がある. 本講義では,このうち,「経済性」と「開発期間」を扱う.(「性能」,「信頼性」については,「航空宇宙システム工学」で扱う.) 本講義では,最初に,人工衛星の概念設計過程を取り上げ,設計における「システム思考」を説明する.特に,様々な分野を考慮して設計をするために必要な考え方,設計開発を進める上での計画の重要性,さらに経済性を関連付けて説明する. その後,設計を評価するためのモデル化手法として,経済性評価,スケジューリング,システムを階層モデルとして表現する方法に焦点をあてて,各手法について説明する. 最後に,設計で考慮しなければならない不確定性(バラツキ)のモデル化について説明する.
- 担当教員氏名
- 小木曽 望
- 科目ナンバリング
- AJAASE3E001-M1 (公大) / BMASE3927-J1 (府大) / BMASE3936-J1 (府大)
- 授業管轄部署
- 工学部
- 授業形態
- 講義
- 開講キャンパス
- 中百舌鳥
- 開講区分
- 週間授業
- 科目分類
- E群専門科目
- 配当年次
- 2年 (公大) / 2年 (府大) / 2年 (府大)
注意: 配当年次は学部・学科によって異なる場合があるので、UNIPAで確認してください。
- 単位数
- 2単位 (公大) / 2単位 (府大) / 2単位 (府大)
注意: 実際の単位数は学部・学科によって異なる場合があるので、必ずUNIPAで確認してください。
- 到達目標
- 1. 衛星システムを通して,システムとは何か,システムを設計するには何が重要かが説明できる. 2. 衛星システムの設計過程と各段階で何をするのかが説明できる.なかでも概念設計において決定すべき重要なパラメータとそのパラメータ間のトレードオフ関係が説明できる.具体的には以下に示す. 2-1. 人工衛星の概念設計で特に必要となる 軌道設計とセンサー視野解析,初期重量推算,初期電力推算の物理的な意味が説明できる. 2-2. これらの重要なパラメータの解析法の基本原理を説明でき,解析ができる. 3. システム設計で重要な項目のうち,意思決定,費用などの経済性および開発計画に関する基本事項が説明でき,定量的な評価をし,その結果が考察できる.
- 各授業回の説明
- 成績評価方法
- 書かなくてもわかることであるが,成績評価は到達目標の達成度で行う. 定期試験(80%)と授業のレポート課題(20%)とした評価, もしくは,定期試験(100%)で評価したいずれか高い方で評価する. いずれかで,100点満点中60点以上を合格とする.
- 履修上の注意
- システムの考え方を理解するために,ふだん目にする「人工物」に注意しましょう. 特に,「機能」と「実体」の違いと関係を理解することを心がけましょう. 本授業の内容は、授業担当者の実務経験を活用したものです。
- 教科書
- 室津ほか, システム工学 (第2版), 森北出版, (2006)
- 参考文献
- 赤木新介, システム工学 -- エンジニアリングシステムの解析と計画, 共立出版, (1992) 衛星設計コンテスト実行委員会監修, 衛星設計入門, 培風館, (2002) 室津 義定 編著, 航空宇宙工学入門 (第2版), 森北出版, (2005) J.J. Sellers, Understanding Space, An introduction to Astronautics, McGraw-Hill (2005) J.R.Wertz et al., Space Mission Engineering: The New SMAD, Space Technology Library (2011) 宮崎康行, 人工衛星をつくる, オーム社, (2011) 半揚稔雄, ミッション解析と軌道設計の基礎, 現代数学社, (2014) 伊藤恵理, 航空交通管理システム概論, コロナ社, (2023) I.E.Alber, Aerospace Engineering on the back of envelope, Springer (2012) R. Sheng, Systes Engineering for Aerospace, A Practical Approach, Academic Press (2019)
- オフィスアワー
- - 外部公開シラバスのためデータがありません / Please use UNIPA syllabus -
- 教員への連絡方法(メールアドレス等)
- - 外部公開シラバスのためデータがありません / Please use UNIPA syllabus -
- その他
- (関連科目)航空宇宙システム工学
授業 | 授業内容 | 事前・事後の学習内容 |
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第1回 | 航空宇宙システムの具体例紹介とシステムの価値 | [事前]軌道力学,人工衛星について,これまでに学んだことを復習する. [事後]授業内容を復習し,システムの価値を理解する. |
第2回 | 人工衛星の概念設計 衛星開発と衛星コンフィグレーション | [事前] 配布プリントの該当箇所を精読すること. [事後]授業内容を復習し,人工衛星の設計過程と衛星コンフィグレーションを理解する. |
第3回 | 人工衛星の初期設計 軌道の特徴と軌道選択 | [事前]配布プリントの該当箇所を精読すること.軌道力学の復習をすること. [事後]授業内容を復習し,例題または課題を通して,軌道の重要な項目を理解すること. |
第4回 | 人工衛星の初期設計 軌道要素,日照・日陰条件 | [事前] 配布プリントの該当箇所を精読すること. [事後]授業内容を復習し,例題または課題を通して,軌道要素と日照・日陰の関係を理解すること. |
第5回 | 人工衛星の概念設計 ホーマン軌道とアポジエンジン | [事前] 配布プリントの該当箇所を精読すること. [事後]授業内容を復習し,例題または課題を通して,軌道変更に必要な燃料質量を理解すること. |
第6回 | 人工衛星 電力要求と太陽電池, バッテリー | [事前]配布プリントの該当箇所を精読すること. [事後]授業内容を復習し,例題または課題を通して,日照・日陰と太陽電池に必要な発電量.バッテリー条件を理解すること. |
第7回 | 人工衛星 軌道とミッション機器の視野 | [事前]配布プリントの該当箇所を精読すること. [事後]授業内容を復習し,例題または課題を通して,ミッション機器と視野の関係を理解すること. |
第8回 | 規模と好適方式 | [事前]配布プリントの該当箇所を精読すること. [事後]授業内容を復習し,例題または課題を通して,規模と好適方式の概念と適用例を理解すること |
第9回 | システムの経済性評価 | [事前]教科書の該当箇所を精読すること. 高校数学で学んだ等比数列を復習すること. [事後]授業内容を復習し,例題または課題を通して,システムの経済価値を理解すること. |
第10回 | システムの経済性評価 費用便益解析 空港設備を例に | [事前] 配布プリントの該当箇所を精読すること. [事後]授業内容を復習し,例題または課題を通して,費用便益解析および計器着陸方式(ILS)を理解すること. |
第11回 | システムの計画と評価 ガントチャートとPERT | [事前] 教科書の該当箇所を精読すること. [事後]授業内容を復習し,例題または課題を通して,開発計画における事前作業の重要性を理解すること. |
第12回 | システムの計画と評価 プロジェクトマネジメントのために | [事前] 配布プリントの該当箇所を精読すること. [事後]授業内容を復習し,例題または課題を通して,スケジューリングの価値を理解すること. |
第13回 | 不確定性のモデル化 確率分布の基礎 | [事前] 配布プリントの該当箇所を精読すること.高校数学や大学で学んだ確率の復習をすること. [事後]授業内容を復習し,例題または課題を通して,不確定性を考慮したスケジューリングの重要性を理解すること. |
第14回 | 不確定性のモデル化 ポアソン過程と待ち行列 | [事前] 配布プリントの該当箇所を精読すること. [事後]授業内容を復習し,例題または課題を通して,待ち行列の理論を理解すること. |
第15回 | 不確定性のモデル化 待ち行列と航空管制 | [事前] 配布プリントの該当箇所を精読すること.航空管制について,航空宇宙工学基礎2で扱った「航空宇宙工学入門 (第2版)」 12章を精読すること. [事後]授業内容を復習し,例題または課題を通して,待ち行列が航空管制でどう役立っているかを理解すること. |
第16回 | 定期試験 |
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Updated on 2025/6/28 6:34:18