大阪公立大学 授業カタログのロゴ

Project TryAngleは学生スタッフによる大学公認のシステム開発チームです。 利用者の観点からより便利になるよう、学生自身の手で新システムの開発などを行っています。

ios_share

2025年度/1BFA030000 (公大) / (市大)

【火8】医療イノベーション経営 <後期>

日本の医療組織の経営は、ビジョン、戦略、計画に則って、事業部門毎、そして包括した全体における、内外環境を見定めた課題を評価・検討、管理し、組織を維持・発展させることが求められている。そこには、医療の質向上と患者の健康、生活上の価値が伴わなければならない。つまり、効率化と医療の質向上という両側面を追求することが必要である。また、医療組織は、施設基準や診療報酬制度、多職種免許職制という、規制、制限された競争、セグメント化された人事・組織管理という特徴を持つ。これら経営上の課題と組織上の特徴のもと、様々な経営指標を分析して意思決定するのが、現在の経営幹部の役割と言える。本講義では、このような医療組織経営の特徴を前提としたうえで、患者との協同医療、非営利組織論、社会的排除と主体・知識観などを参考にして、改善に留まらない組織・業務変革としてのイノベーション経営のあり⽅について、受講生が自らリーダーシップを発揮して取り組むためのヒントを共に考えたい。

担当教員氏名
島田 真
科目ナンバリング
BFYOSO6D001-J1 (公大) / AMDXX6501 (市大)
授業管轄部署
都市経営研究科(創造都市含む)
授業形態
講義
開講キャンパス
梅田サテライト
開講区分
週間授業
科目分類
中核科目
配当年次
学年指定なし (公大) / 1年 (市大)

注意: 配当年次は学部・学科によって異なる場合があるので、UNIPAで確認してください。学年指定なしの表記は、要覧等を確認してください。

単位数
1単位 (公大) / 1単位 (市大)

注意: 実際の単位数は学部・学科によって異なる場合があるので、必ずUNIPAで確認してください。

到達目標
医療組織でイノベーション経営を実践する上では、経営学のなかでも、医療とは何かを考慮した経営理念と非営利組織論、専門職と市民との関係性の観点が特に重要である。さらに、経営学を超えて、社会学、教育学、政治学といった多様な分野の学問的成果を学ぶ必要がある。本講義では、学生が授業中の討論とレポート作成等を通じて、こうした医療組織への従来の経営学の単純な当て嵌めの問題点を認識した上で、⾃組織の経営の現状と課題を分析し、自らリーダーシップを発揮して、課題達成に資するイノベーションを提案・実践できるようになることを目標とする。
各授業回の説明
授業授業内容事前・事後の学習内容
第1回導入講義として、日本の医療制度と医療組織、それぞれの組織の機能と役割について学ぶ。また、医学とは何かを概観したうえで、今後の日本の医療に必要となるであろう「Medical Generalism」を紹介する。事前学習:次回の講義テーマに関する事前配布教材、自らの専門知識・実務経験、参考文献やインターネット等で収集した情報を踏まえて、各講義テーマについての自らの関心と担当教員への質問をまとめる。 事後学習:事前配布教材、講義時配布教材と講義ノートを熟読し、講義中に新たに得た疑問については文献やインターネット等で情報収集を行ったうえで、事前学習でまとめた質問への回答と、講義で得た新たな知見をまとめる。
第2回資本主義下での営利企業の組織マネジメントを理解したうえで、特に新自由主義社会における主体化と知識の意味を検討する。第1回参照
第3回医療組織が提供するサービスについて、貧困と社会的排除の理論から検討する。第1回参照
第4回知識社会論、知識創造経営を理解したうえで、新自由主義社会における知識の商品化を学ぶ。第1回参照
第5回医療組織のステークホルダーとガバナンスの一つとして、医療への患者参加について学ぶ。生活習慣病における自己管理と価値観のすり合わせをどう考えるか検討する。第1回参照
第6回サービス・マーケティングの視点を参考にして、患者満足よりも近年注目される「Patient Experience」を学ぶ。第1回参照
第7回患者の意思決定の観点から、アンヌマリー・モルの提唱する「ケアのロジック」について検討する。第1回参照
第8回医療組織の人材育成とキャリアパスを理解し、正統的周辺参加、実践コミュニティ、パウロ・フレイレの教育論を学ぶ。第1回参照
第9回企業形態論から協同組合、非営利組織とは何か、またはその意義について学ぶ。そこから非営利であることの意味を再検討する。第1回参照
第10回経営戦略の基本概念を理解し、医療組織での応用と実行方法について学ぶ。第1回参照
第11回いくつかの生協組織の具体的実践から知識のあり様、知識コモンズを考えるとともに、医療組織での交渉と軋轢解消のあり方ついて学ぶ。第1回参照
第12回ネットワーキングとソーシャル・キャピタルの理論を理解し、Social Determinants of Health(SDH)と健康格差に着目して、医療組織での応用について学ぶ。第1回参照
第13回海外の社会保障制度と医療制度について理解し、日本の医療制度との違いと海外事例の応用可能性について学ぶ。第1回参照
第14回日本の医療制度の根幹である国民皆保険制度の問題点について、無料定額診療制度を通して検討する。第1回参照
第15回まとめの講義を行ったうえで、受講者各自が今後自組織で医療イノベーション経営を実践するために、どのようなリーダーシップを発揮できる/すべきかについて討議する。第1回参照
成績評価方法
(1)到達目標の達成度について評価を行う。 (2)授業中の討論への貢献度50%、全講義終了後の最終レポートの内容50%の比重で、総合的に評価する。最終レポートの内容は講義中に指示する。 (3)合格(単位修得)のための最低基準は、学生が自分の組織において提案するイノベーションについて、最終レポートにおいて一定の水準に達していること。
履修上の注意
医療・福祉イノベーション経営コース以外の学生で履修・聴講を希望するものは、履修登録期間までに担当教員に、自らの医療・社会福祉に関する実務経験(医療機関、調剤薬局、訪問看護・リハビリテーション事業者、介護保険サービス事業者、社会福祉施設・法人等での10年程度の勤務経験、行政機関の保健医療・福祉関連業務への10年程度の従事経験)の概要と受講目的を記載した履修・聴講願い(A4用紙1枚程度、様式自由)を電子メールで提出し、担当教員からの電子メールによる許可を得てから履修登録・聴講を行うこと。講義中には、文献やインターネット等で調べることができる質問ではなく、自らの専門知識と実務経験にもとづく積極的な質問・発言を求める。
教科書
各講義の事前および講義時に配布・指示する。(下記参考文献の一部を含む)

Loading...

参考文献
*医学、看護、リハビリテーション理念 フランク・ゴンザレス・クルッシ (2008)『医学が歩んだ道』武田ランダムハウスジャパン 高草木光一 (編)(2013)『思想としての「医学概論」―いま「いのち」とどう向き合うか』 岩波書店 猪飼周平(2017)『病院の世紀の理論』有斐閣、2017年 上田敏(編)(1992)『リハビリテーションの理論と実際』ミネルヴァ書房 Reeve, J.(2023)Medical Generalism, Now!, London: CRC Press *新自由主義社会 ハーヴェイ, D.(2007)『新⾃由主義 その歴史的展開と現在』渡辺治監訳 作品社 バートン=ジョーンズ, A.(2001)『知識資本主義―ビジネス、就労、学習の意味が根本から変わる』野中郁次郎監訳 日本経済新聞社 ブラウン, W.(2017)『いかにして民主主義は失われていくのか: 新自由主義の見えざる攻撃』中井亜佐子訳 みすず書房 *主体化 イリッチ, I.(1998)『脱病院化社会』金子嗣郎訳 晶文社 Butler, J. (2005) Giving an account of oneself, New York: Fordham University Press(佐藤嘉幸,清水知子訳『自分自身を説明すること』月曜社、2008年) *貧困、社会的排除、SDH 岩田正美(2008)『社会的排除―参加の欠如・不確かな帰属』有斐閣 志賀信夫(2016)『貧困理論の再検討 相対的貧困から社会的排除へ』法律文化社 ポーガム, S.(2016)『貧困の基本形態:社会的紐帯の社会学』川野英二・中條健志訳 新泉社 近藤克則(2005)『健康格差社会 何が心と健康を蝕むのか』医学書院 マーモット, M.(2017)『健康格差』栗林寛幸 監訳 日本評論社 *知識社会 ブラウン, W.(2017)『いかにして民主主義は失われていくのか: 新自由主義の見えざる攻撃』中井亜佐子訳 みすず書房 Bell, D.(1973)The coming of post-industrial society a venture in social forecasting(内田忠夫ほか訳『脱工業社会の到来 社会予測の一つの試み 上・下』ダイヤモンド社、1975年) *医師-患者関係、患者の参加、意思決定、SDM 山口育子(2018)『賢い患者』 岩波新書 Mol, A.(2008) The logic of care: health and the problem of patient choice, London: Routledge(田口陽子・浜田明範訳『ケアのロジック : 選択は患者のためになるか』水声社、2020年) *教育論と学習 フレイレ, P.(2018)『被抑圧者の教育学 50周年記念版』三砂ちづる訳 亜紀書房 レイヴ, J., ウェンガー, E.(1993)『状況に埋め込まれた学習 正統的周辺参加』佐伯胖訳 産業図書 *協同組合、非営利組織 ドラッカー, P. (2007)『⾮営利組織の経営』ダイヤモンド社 橋本理(2013)『非営利組織研究の基本視覚』法律文化社 川口清史(1994)『非営利セクターと協同組織』日本経済評論社 藤井敦史・原田晃樹・大高研道編著(2013)『闘う社会的企業 : コミュニティ・エンパワーメントの担い手』勁草書房 角瀬保雄・川口清史編(1999)『非営利・協同組織の経営』ミネルヴァ書房 佐藤慶幸(1991)『生活世界と対話の理論』文眞堂 *知識コモンズ Ostrom, E.(2015) Governing the commons: the evolution of institutions for collective action (Canto Classics ed.), Padstow: Cambridge University Press Hess, C. and Ostrom, E. (2011)Understanding knowledge as a commons from theory to practice (paperback ed.), Cambridge: The MIT Press *⽇本の医療経営一般 ⻄⽥在賢(2011)『ソーシャルビジネスとしての医療経営学』薬事⽇報社
オフィスアワー
- 外部公開シラバスのためデータがありません / Please use UNIPA syllabus -
教員への連絡方法(メールアドレス等)
- 外部公開シラバスのためデータがありません / Please use UNIPA syllabus -

Updated on 2025/8/7 6:47:53

ページ上部へ戻る