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2025年度/1FCB306010 (公大) / (市大)

【木3】刑事訴訟法総合演習 <前期>

刑事訴訟法の基本知識をもつ学生を対象に、具体的な事例をもとにして、同法に関する理論的な検討をおこなうとともに、当該手続において実務法曹としてどのように活動したらよいのかを考えさせる演習。各回の演習では、十分な予習があることを前提に、双方向の議論をおこなって、課題について検討を深める。課題により、学生自身の主張を裁判所に提出する意見書などの形式で事前に書面化させる。このような書面化の作業を通じて、論述能力を養う。 第1回は三島と高見の2名でおこない、その後第2回から第9回を三島が、第10回から15回を高見が担当する。

担当教員氏名
三島 聡高見 秀一
科目ナンバリング
FCALAW81031-J2 (公大) / JAEPE8805 (市大)
授業管轄部署
ロースクール
授業形態
演習
開講キャンパス
杉本
開講区分
週間授業
科目分類
法律基本科目
配当年次
2年 (公大) / 2年 (市大)

注意: 配当年次は学部・学科によって異なる場合があるので、UNIPAで確認してください。

単位数
2単位 (公大) / 2単位 (市大)

注意: 実際の単位数は学部・学科によって異なる場合があるので、必ずUNIPAで確認してください。

到達目標
到達目標は、刑事訴訟法に関する個別の課題に対し、法規、判例、学説を活用して、実務法曹としていかに対処するのか、その点についての基本的素養を修得することである。より具体的には、刑事訴訟法の基本事項の理解のうえに、主要論点について判例を踏まえて検討し、事例を的確に処理できる能力、訴訟関係者の立場にたって、事案を分析しポイントのついた主張をなしうる基本的な能力を養うことを主眼とする。
各授業回の説明
授業授業内容事前・事後の学習内容
第1回職務質問 職務質問に関連する事項についての基本的知識を修得させる。具体的には、職務質問の要件、職務質問の際の実力行使、職務質問にともなう所持品検査などを扱う。<事前学習> 電子掲示板等で予習事項を具体的に示すので、それにしたがって、その関連事項も含めて学習すること。 <事後学習> 授業で扱った基本事項、教員が強調した内容を復習するとともに、当該事案をどのように解決すべきか検討すること。
第2回令状にもとづく捜索・差押え 令状における捜索場所・差押え目的物の明示、令状による捜索・差押えの範囲など、令状にもとづく捜索・差押えをめぐる重要問題を具体的事例に即して検討する。同上
第3回無令状の捜索・差押え 無令状の捜索・差押えの場所的・時間的限界、物的範囲など、無令状の捜索・差押えをめぐる重要問題を具体的事例に即して検討する。同上
第4回違法収集証拠の証拠能力(1) 違法収集証拠の証拠能力をめぐる基本的知識を修得させる。排除法則の根拠、排除の基準、排除の申立適格などについて検討する。同上
第5回違法収集証拠の証拠能力(2) 派生証拠の証拠能力について検討する。同上
第6回訴因 訴因に関する基本的知識を修得させる。訴因の意義、特定、変更のうち、訴因の変更を中心に検討する。同上
第7回伝聞法則・伝聞証拠の意義 伝聞証拠の排除法則に関する基本的知識を修得させる。伝聞証拠の定義、伝聞排除の根拠、伝聞・非伝聞の区別を扱う。同上
第8回伝聞例外(1) 伝聞例外のうち、とくに実況見分調書の証拠能力、現場供述と現場指示の区別につき、理解を深めさせる。同上
第9回伝聞例外(2) 伝聞例外のうち、検察官面前調書の証拠能力に関する論点について検討する。同上
第10回捜査段階の強制処分に関する規定 近時の具体的な最高裁判例を用いて、刑訴法・刑訴規則・警職法・犯罪捜査規範等の条文規定の文言が具体的に何を意味しているのかについての理解を深めさせる。第10回から15回については、当該講義に必要な資料及び予習事項を、事前(電子掲示板あるいは前回授業の際)に交付するので、その予習事項を意識しながら資料を読み込んで、講義での質疑や討論に応じることができるように準備する。 事後は、配布されたレジュメ等に基づいて復習すること。
第11回逮捕、勾留に関する手続規定 逮捕・勾留から公訴提起までの手続規定を、刑訴法・刑訴規則・犯罪捜査規範などに基づいて整理する。警職法の条文についても触れる。 また、逮捕・勾留されている被疑者を身体拘束から解放するための弁護活動としてどんなことができるのかを、上記の条文規定の文言に対応させる形で、整理・分析させる。同上
第12回捜査官の暴行・脅迫・偽計・利益誘導に対する法的措置 接見した被疑者から、捜査官から暴行・脅迫・偽計・利益誘導を受けたという告白を受けた弁護人が採りうる手段について、現行法がどのような手続を用意しているのかを整理し、その諸手続の際に弁護人が行うべき具体的な活動を検討させ、行うべき弁護人の主張の骨子も議論・検討させる。「被疑者取調べ適正化のための監督に関する規則」による苦情の申出についても触れる。同上
第13回保釈 保釈の要件と手続を確認させるとともに、起訴後に勾留されている被告人を釈放する(保釈制度以外の)法的手段を調査させる。演習では、保釈についての最高裁決定を配布して、事案の流れ、手続の流れについて、刑訴法・刑訴規則のいかなる規定に対応しているのかを議論させたのち、否認したまま起訴された被告人についての保釈請求却下の裁判に対して、弁護人のとりうる法的手段等を検討させる。 令和5年5月17日公布の刑訴法の改正(保釈に関係する部分)についても触れる。同上
第14回自白の任意性・信用性 意に添わない自白調書(検察官調書)を作成されてしまった被疑者がそのまま起訴され、検察官からその自白調書が取調請求された。その際の弁護人の主張・争い方として考えられるものを検討・議論させる。 事件が公判前整理手続に付されたことを前提に、自白調書の取調方法について、検察官による取調べ請求後の手続の流れを具体的に説明し、自白の任意性・信用性についての争い方、自白の任意性についての審理(立証)方法、任意性の判断の枠組み等について、現行法規定ではどのように規定されているのか(あるいは規定されていないのか)について、整理・議論させる。その際実際にロールプレイさせ、理解を深めさせる。同上
第15回裁判員裁判対象事件の被疑者弁護から公判弁護まで 裁判員裁判の対象事件となる被疑事件について、被疑者国選弁護人として選任された弁護士が何をなすべきか、どんなことをしているのか、公訴提起後、公判前整理手続を経て、公判期日に至る手続、公判期日での手続等について、手続を概観する。教員が実際に経験した事件をアレンジして、説明等を行いつつ、刑訴法・刑訴規則の条文規定を確認させる。同上
第16回期末試験
成績評価方法
絶対評価。学期末に筆記試験を実施する。この筆記試験の結果に80点を配分する。そのほか、演習で提出を求めた書面、演習での議論の仕方、表現技術などによる評価をおこない、20点を配分する。いずれも高見担当分5割、三島担当分5割で評価する。
上記の到達目標にしたがって、その能力がどれだけ養えたかを評価する。刑訴法の基本事項や論点の理解、論理的な文章構成力があきらかに不十分な場合には不合格となる。
履修上の注意
最初におこなう「基本知識の確認」に手間取ることなく「判例についての問い」等の本題にすみやかに入れるよう、しっかり予習してくること。 「基本書」は文字どおりみなさんの勉強の拠り所になるものである。予習・復習の際、もっと深く読み込むこと。
教科書
三島担当分につき、後藤昭=白取祐司編『プロブレム・メソッド刑事訴訟法30講』(日本評論社、2014年)を使用する。その他、演習に必要な教材は、担当教員が作成して配布する。

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参考文献
判例教材として、三井誠編『判例教材刑事訴訟法〔第5版〕』(東大出版会、2015年)。 演習書として、古江頼隆『事例演習刑事訴訟法〔第3版〕』(有斐閣、2021年)および高田昭正『基礎から学ぶ刑事訴訟法演習』(現代人文社、2015年)。 伝聞法則の参考書として、後藤昭『伝聞法則に強くなる〔第2版〕』(日本評論社、2023年)。 高見担当分についての参考書として、守屋克彦編著『刑事訴訟法における学説と実務――初学者のために』(日本評論社、2018年)。
オフィスアワー
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Updated on 2025/7/22 6:36:12

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