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2025年度/1FCB404010 (公大) / (市大)

【木4】刑事訴訟実務の基礎 <前期>

刑事訴訟に関わるに際して必要となる実務知識と、刑事訴訟法において本来求められている一般的理論が各手続の運用にどのように反映されているのかを修得させ、人権感覚に溢れた市民のための実務法律家となるために必要な基礎的な素養を養うことを目的とする。捜査の端緒から、被疑者の逮捕・勾留段階を経て、公訴提起、公判前整理手続、冒頭手続、証拠調手続、判決宣告に至るまでの手続の中で発生する法的論点に対し、具体的なモデル事例を用いながら授業を行い、各訴訟当事者が取るべき対応を考えさせることを通じて、受講者の理解を深める。講義にあたっては、予習用教材等にそって、基礎的概念および重要判例等を、適宜、質疑応答を通して検討する。受講生は、事前に十分な予習を行うことが求められる。このほか、関連する項目に関する課題を課し、あるいはその書面を作成させることなどにより、論述の能力を涵養するための指導を行う。第 1 回から第 7 回を高見が、第 8 回から第 15 回を杉本が担当する。

担当教員氏名
高見 秀一杉本 吉史
科目ナンバリング
FCALAW82004-J1 (公大) / JAPRA9904 (市大)
授業管轄部署
ロースクール
授業形態
講義
開講キャンパス
杉本
開講区分
週間授業
配当年次
3年 (公大) / 3年 (市大)

注意: 配当年次は学部・学科によって異なる場合があるので、UNIPAで確認してください。

単位数
2単位 (公大) / 2単位 (市大)

注意: 実際の単位数は学部・学科によって異なる場合があるので、必ずUNIPAで確認してください。

到達目標
刑事訴訟実務(捜査段階から判決宣告後まで)がどのように運用されているのか、また、刑事訴訟法の一般的理論が各手続の運用にどのように反映されているのかを、自分の言葉で説明ができるようになることが、到達目標の1である。 さらに、刑事弁護人の基本的な役割・義務や検察制度・犯罪被害者の訴訟参加制度等の理解を深めて、自分が刑事訴訟の現場に置かれた場合に、人権感覚に溢れた市民のための実務法律家として、どのような行動を取るべきかを判断することができることが、到達目標の2である。
各授業回の説明
授業授業内容事前・事後の学習内容
第1回捜査の端緒 逮捕された被疑者が検察官に送致される際に同時に送致される一件記録を配布し、それまでの手続の流れについて、刑事訴訟法及び刑事訴訟規則の条文規定を確認させる。 その際、捜査の端緒としてどんなものが規定されているのか、逮捕後検察官送致までの段階で作成される書面は、将来どのように(何のために)利用されるのか等について、議論させる。 GPS捜査の適法性に関する最高裁平成 29年3月15日大法廷判決を用い、強制処分法定主義の意味と意義について考えさせる。第 1 回から第7回については、当該講義に必要な資料を、事前ないし当日に交付するか、 教科書の中の読んでおくべき部分を事前に指示するので、その部分及び資料を読み込んで、講義での質疑や討論に応じることができるように準備をする。事後は、配布されたレジュメ等に基づいて復習を行うこと。
第2回被疑者の勾留① 勾留請求前及び勾留請求後並びに勾留状発付後の各段階における弁護人の活動としては、どこ(誰)に対して、どんなことをすればいいのか、具体的に検討させる。また、それに対して検察官や裁判官はどのような観点で対応すべきなのか等を議論させる。 次回までの宿題として、勾留に対する準抗告請求書を起案させる(自宅起案)同上
第3回被疑者の勾留② 各自が作成してきた準抗告申立書に基づいて議論させる。その中で、勾留の各要件について、具体的事実からどのような主張ができるのか(具体的事実は勾留のどの要件に関する事実なのか)について、再認識させる。近時の最高裁決定(平成26年 11月17日、11月18日、平成27年4月15日、10月22日等)が示している具体的説示の意味するところを理解させる。また、検察官の立場に立って、勾留の要件についての弁護人の主張に対して、どのような反論が可能なのか、裁判所としてどう判断すべきなのかについても議論させる。同上
第4回公訴提起① 勾留満期の時点までに検察官に追送致される記録及び検察官が作成する記録並びに起訴状のひな形を配布し、受講生に起訴状の起案をさせる(即日起案)。その後、起訴状の記載事項が刑訴法並びに刑訴規則上どのように規定されているのかを確認しながら、各自の悩んだ点について発表させ、議論する。具体的に起訴状を起案する中で、起訴状一本主義や予断排除の原則の実務的な意味ないし意義を考えさせる。同上
第5回公訴提起② 前記公訴提起①で起案させた起訴状についての講評。捜査段階で収集したどの証拠から訴因事実を構成したのか、どの証拠で立証するのかについて、各人がいかなる思考で事実を組み立てたのか等を議論させ、訴追当事者としての検察官として考慮すべき問題点を考察する。同上
第6回公判前整理手続についての刑事訴訟法及び刑事訴訟規則の条文規定の解説 公判前整理手続に付された事件の手続の流れを概観し、公判前整理手続の目的についても説明する。その際には、司法研修所監修の上記教材と講師作成レジュメ等を用いる。 裁判員制度実施後の運用実態などについても、最新の情報を踏まえて、触れる。第 6 回については、事前に、公判前整理手続に関する刑訴法及び刑訴規則の条文規定を必ず読み込んだ上で参加すること。当日、解説に必要なレジュメ及び資料を交付する。事後は、配布されたレジュメ等に基づいて復習を行うこと。
第7回公訴提起③(手続の流れ) 司法研修所監修の刑事裁判記録教材(「刑事第一審公判手続の概要-参考記録に基づいて-平成21年版-」)に基づいて、受訴裁判所の一件記録の編綴方法、記録の読み方等について質問しながら議論させつつ、刑事訴訟手続(主として起訴後の審理)の流れを解説する。 またその際、各手続の根拠になっている条文規定を確認させる。 司法研修所監修の左記教材の、特に、第2分類の中に編綴されている、証拠等関係カードをよく読んでから授業に参加すること。
第8回刑事弁護人の基本的な役割と義務 刑事手続における弁護人選任権の意義・役割や、刑事事件における弁護士倫理や記録の管理等の問題にも認識を深める。弁護人の誠実義務、最善努力義務、守秘義務など、弁護人の基本的な役割と義務について習得する。第 8 回から第14回については、事前に各テーマ毎の課題を出題するので、その課題について検討し、講義での質疑応答や討議に応じることができるよう準備をする。また、講義までにレポートを提出することを求めた課題については、必ず事前にレポートを提出し、そのレポートを持参して講義に臨むこと。 事後は、配布されたレジュメ等に基づいて復習を行うこと。
第9回検察制度と被害者参加の制度 検察機構を学び、検察官の権限と組織原則、心構えを身につける。公訴権濫用論を通じて、検察官の客観義務について学ぶ。また、刑事裁判での被害者参加の制度について、基本的な制度趣旨の理解を深める。同上
第10回刑事公判の法廷技術-その1 起訴後の裁判所・各当事者の公判までの準備、起訴後の検察官・弁護人による証拠請求とそれに対する証拠意見の仕方について、必要な準備活動と基本的な技術を習得する。また、保釈請求の手続と、裁判所による判断の実情、保釈請求却下の裁判に対する弁護人のとりうる法的手段等について学ぶ。同上
第11回刑事公判の法廷技術-その2 冒頭陳述の意義、証人尋問(主尋問・反対尋問)を行う際の留意点や尋問に対する異議申立の種類や申立の仕方、論告と最終弁論等について、法廷技術の基本的視点を検討する。同上
第12回訴因変更手続と択一的認定-その要否と可否、訴因変更命令   刑事訴訟における訴因の機能、役割について改めて理解を深め、訴因変更の要否と可否、裁判所の択一的認定についての判例と実務について学ぶ。同上
第13回公判前整理手続及び公判手続の流れ 模擬ケースを用いて、公判前整理手続における各当事者のとるべき訴訟行為及び公判手続における手続について、復習的にどのような行動を取るべきかを議論する。同上
第14回事実認定 予め用意したケースについての起案を課題とし、受講者によって事例に基づく検討を進め、証拠に基づいて如何にして真実に迫るのか、合理的な疑いとは何なのか等について認識を深める。同上
第15回検察による捜査と被疑者弁護活動など 外部講師による講演などを通じて、検察による捜査の実際と被疑者段階における弁護人の役割について、その理解を深め、自らがそのような場面でどのような行動すべきかを考える。事前の準備は必要なし。事後は、配布されたレジュメを復習すること。
第16回期末試験
成績評価方法
絶対評価 学期末に、論述式試験を行う。論述式試験の結果に対して80点を配分する。そのほか、講義における質問や議論への参加状況及び提出された書面についての評価を20点として配分する。 いずれも、高見担当分50%、杉本担当分50%として、その合計点で評価する。 評価は、冒頭記載の到達目標について、どれだけ獲得できているか、説明できているか、判断できているかの観点で行う。なお、刑事訴訟法の一般的理論についての基本的理解に著しい誤りがある場合には、不合格となる。
履修上の注意
特になし
教科書
教科書として、司法研修所監修の刑事裁判記録教材(「刑事第一審公判手続の概要-参考記録に基づいて-平成21年版-」)(法曹会発行)を用いる。 その他各講義に必要な教材・資料等は、担当教員が事前に指定するか、自ら作成して配布する。予習の資料については、調査の方法のみ教示する場合もある。

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参考文献
(1)から(7)についての参考書として、現役裁判官と元裁判官の弁護士・研究者が執筆を担当している、守屋克彦編著『刑事訴訟法における学説と実務-初学者のために』(日本評論社、2018 年)を推薦する。
オフィスアワー
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教員への連絡方法(メールアドレス等)
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Updated on 2025/7/17 6:36:15

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