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2025年度/1GBA001011 (公大)

【火1】初年次ゼミナール 大阪・関西の刑事事件判例研究/S <前期>

全学部・学域混成の少人数編成による必修ゼミナール。入学前の受動的になりがちな学びから、学生自らが動き、働きかける大学での能動的な学びの姿勢を身に付けることを目的とする。 様々な専門分野の教員が設定した特定のテーマについてグループ研究を行う中で、異なる価値観や多様性に接しながら、研究に必要な基礎的・基本的な知識と技法を学ぶ。

担当教員氏名
徳永 元
科目ナンバリング
XXXCFE1B001-J2 (公大)
授業管轄部署
国際基幹教育機構(学部)
授業形態
演習
開講キャンパス
杉本
開講区分
週間授業
配当年次
1年 (公大)

注意: 配当年次は学部・学科によって異なる場合があるので、UNIPAで確認してください。

単位数
2単位 (公大)

注意: 実際の単位数は学部・学科によって異なる場合があるので、必ずUNIPAで確認してください。

到達目標
1.図書館、各種データベース等を活用して、必要な資料や情報を収集できる 2.収集した情報や他者の意見を取り入れ、論理的に考えることができる 3.適切な形式でレポート作成、発表等ができる
各授業回の説明
授業授業内容事前・事後の学習内容
第1回ガイダンス事前配布資料の確認
第2回報告と質疑のレクチャー事前配布資料の確認
第3回『判例とその読み方』を読む事前配布資料の確認
第4回図書館ツアー事前配布資料の確認
第5回判例報告① 被告人は、自己の営む飯場において、洗面器の底や皮バンドでYの頭部等を他数回殴打するなどの暴行を加え、意識消失状態に陥らせた。被告人が、その後、意識を消失したYを自動車で運搬し、建設会社の資材置場に放置して立ち去ったところ、翌日未明にYは死亡した。Yは、生存中に、何者かによって角材で頭部を数回殴打されたが、その暴行は、幾分かYの死期を早める影響を与えるものであった。判例原文および参考資料の精読、資料収集、報告レポートまたは感想文の作成・提出
第6回判例報告② 被告人は、Yと口論になった際、同人が「殴られたいのか」と言って手拳を前に突き出し、足を蹴り上げるなどしながら被告人に近づいてきたのに対し、所携の菜切包丁を腰のあたりに構えながら、Aに対して、「殴れるのなら殴ってみい」、「切られたいんか」と申し向けた。同上
第7回判例報告③ 被告人は、第一種原動機付自転車を運転して、進路の右側にある小路に入るため、センターラインより若干左側を、右折の合図をしながら時速約20kmで進行し、右折を始めたが、その際に右後方を瞥見しただけで、安全を十分確認しなかった。そのため、Xの右後方を時速60kmないし70kmの高速度で第二種原動機付自転車を運転し、Xを追い抜こうとしていた被害者AをXは発見せず、危険はないものと軽信して右折し、Aの自転車の左側をXの自転車の右側ペダルに接触させて転倒させ、よってAを死亡させた。同上
第8回判例報告④ 被告人は、深夜、電器具商Y方店舗において、窃盗の目的で、小型懐中電灯を使用して、現金が置いてあると思われるタバコ売場に近づき、金員を物色しようとしていた際、たまたま帰宅したYが被告人を発見し、「泥棒や」と騒ぎだしたので、逮捕を免れるため、所携の果物ナイフでYの胸部を突き刺して失血死させ、さらにYの妻に暴行を加えて傷害を負わせた。同上
第9回判例報告⑤ 被告人の子Yは、筋力が弱く、運動能力の発達が遅れる病気である乳児重症型先天性ミオパチーにり患していた。平成26年5月頃に撮影された動画によれば、Yの体格は前年10月頃の写真と比べて明らかに手足が細く、ふくらはぎの骨やひざの関節の形状を見て取れる状態になっていた。被告人は、Yの食生活や体格を認識していたが、平成26年2月以降、Yに医療機関を受診させることはなく、Yは同年6月15日(当時3歳10か月)、低栄養に基づく衰弱により死亡した。同上
第10回判例報告⑥ Yは、公園のベンチに座り、隣に自身のポシェットを置いて、友人と話していたところ、公園を立ち去る際に、ポシェットの置忘れに気づかずに駅に向かった。Yは、駅改札付近まで2分ほど歩いたところで、置き忘れに気づき、公園ベンチに戻ったが、ポシェットはなくなっていた。一方、被告人は、Yがベンチ上にポシェットを置き忘れたら持ち去ろうと考え、様子をうかがっていた。被害者が公園から出て横断歩道橋を上り、ベンチから約27mの距離にある階段踊り場まで行ったのを見たとき、周囲に人のいないことを確認し、本件ポシェットを持ち去った。同上
第11回判例報告⑦ 被告人は、客に対し、自動車の時価の2分の1ないし10分の1程度の融資金額を提示し、買戻約款付自動車売買契約書に署名押印させて融資をしていた。契約書の内容は、借主が自動車を融資金額で被告人に売り渡してその所有権と占有権を被告人に移転し、返済期限に相当する買戻期限までに融資金額に一定の利息を付した金額を支払って買戻権を行使しない限り、被告人が自動車を任意に処分することができるというものであったが、契約当事者間では、借主が契約後も自動車を保管し、利用することができることは、当然の前提とされた。 被告人は、共犯者と共謀の上、借主との間で買戻約款付自動車売買契約を締結して金員を貸し付け、返済期限の翌日未明又は数日中に、借主に断わることなしに自動車を引き揚げ、数日中にこれらを転売し、あるいは転売しようとした。同上
第12回判例報告⑧ 税理士であるAは、顧客先から税理士顧問料等の取立てを、集金事務代行業者Bに委託し、Bが顧問料等を一括してAが指定した預金口座に振込送金をしていた。ところが、Aの妻が、誤って、振込送金先を被告人名義の普通預金口座に変更する旨の届出をしたため、Bは集金した顧問料等合計75万31円を同口座に振り込んだ。被告人は、通帳の記載から、入金される予定のないBからの誤った振込みがあったことを知ったが、これを自己の借金の返済に充てようと考え、C銀行窓口係員に対し、誤った振込みがあった旨を告げることなく、その時点で92万円余りとなっていた預金のうち88万円の払戻しを請求し、同係員から即時に現金88万円の交付を受けた。同上
第13回判例報告⑨ 被告人は、街頭募金の名の下に通行人から金をだましとろうと企て、約2か月にわたり、大阪市等の路上において、NPOによる難病の子供たちへの支援を装った募金活動をさせた。そして、寄付金が被告人らの個人的用途に費消されることなく難病の子供たちへの支援金に充てられるものと誤信した多数の通行人に、それぞれ1円から1万円までの現金を寄付させて、多数の通行人から総額約2480万円をだまし取った。同上
第14回判例報告⑩ 被告人は、当時交際中のA方において女児を出産したが、その処置に困り、その頃、A方の浴室において、女児を溺水により窒息させて殺害した。その後、①女児の殺害当日、その死体をタオルに包み、A方の押入れにあったスポーツバッグに入れ、②その2、3日後、死体をスポーツバッグごと自宅のアパートに運び出し、クローゼット内に入れた。さらに③同年春頃、マンションに引っ越した際、死体をキャリーバッグに入れて移動させ、室内に放置し、④平成21年2月頃、再び別のマンションに引っ越した際、死体をキャリーバッグごと移動させ、クローゼット内に入れて放置した。同上
第15回まとめ事前配布資料の確認
授業内容
本演習では、大阪・関西を舞台とした事件の刑事裁判例を研究する。 刑法学は、刑法という犯罪と刑罰を定めるルールの意味内容を探究する学問である。ここでは、社会で起きた事件を常に刑法との関係で見ることとなる。言い換えると、刑法学を学ぶということは、事件について、日常とは(大なり小なり)異なった見方ができるようになるということである。「南港で見つかった死体は誰の仕業なのか。」「わが子の痩せた姿を目にしていたにもかかわらず、生存のための保護は必要ではないと、母親が思うことなどあるのだろうか。」「身に覚えのない振込みがあった場合に、棚から牡丹餅と、銀行に黙って引き出すとどうなるのか。」本演習は、犯罪の成立要件の観点から事件を見ることができるようになる最初のステップを目指す。 演習においては、報告班が判例の内容(事案、判旨)および論点を報告した上で、討論を行う。特に、判例原文を読むことを重視する。判例から読み取られる事案の内容、判旨の意義を明確化することにより、文章をそれ自体として理解することが重要である。裁判所が事件をどのように扱うのか、それを前提として刑事手続がどのように展開するのかを知ることは、法学部生以外も関心があるだろう。同時に、刑事事件は、法律問題であるとともに、常に社会問題でもあるため、法学部生以外の履修者には、自身の学部におけるものの見方を積極的に発信することが求められる。 担当教員による解説では、刑事法の基礎知識を説明するため、本演習は刑事法入門としての内容もあわせもっている。
事前・事後学習の内容
事前学習としては、判例原文の精読と参考資料の確認が必要である。とりわけ、判例の原文については、下級審の判決文も含めて、(想像力も膨らませながら)読み込む必要がある。加えて、学習していない法的論点に立ち入らざるをえない以上、分からなさを抱えつつ辛抱強く取り組む姿勢が不可欠となる。報告班は、報告に使用するレジュメやスライドといった資料を作成する。 事後学習としては、報告レポート(報告回)および感想文(報告回以外)の作成・提出を求める。長文のレポートを要求するわけではないが、下記の通り成績評価の対象となるので、事前学習および演習における報告・討論の成果を示すことが期待される。 事前学習(特に資料収集と報告の準備)や事後学習の具体的な方法については、初回の授業で説明する。
成績評価方法
上記到達目標を念頭に、①報告内容の完成度、②報告準備における貢献、③報告以外の回における討論への貢献、④報告レポートおよび感想文における事後学習の程度という観点から、成績を評価する。 成績評価は、演習および報告準備における参加態度(90%)および感想文における事後学習の程度(10%)により総合的に判断する。特に、報告回における資料の充実と報告担当以外の回の発言の自主性を重視する。 能動的な学びの姿勢を身に付けることが、単位習得のための最低条件である。たとえば、欠席が多い(欠席回数が3分の1以上であればそれだけで単位を認定しない)または遅刻が多い場合には、この条件を満たさない。また、①~④のいずれかについて著しく評価が低い場合も、同様とすることがある。
履修上の注意
特になし。
教科書
毎回、レジュメを配布する。

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参考文献
中野次雄編『判例とその読み方〔三訂版〕』(有斐閣、2009)、佐伯仁志=橋爪隆編『刑法判例百選Ⅰ総論[第8版]』(有斐閣、2020)、同『刑法判例百選Ⅱ各論[第8版]』(有斐閣、2020)。
オフィスアワー
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教員への連絡方法(メールアドレス等)
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Updated on 2025/7/1 6:26:51

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